区の予算も土建ではなくグリーン・ニューディールを! |
世田谷区の予算は熊本色を反映して、相変わらず、土建中心主義であることを批判。給田小学校の光公害を太陽光発電パネルで解決する等の具体的施策を通じ、グリーン・ニューディールを地域から起こすべしと訴えました。
以下は反対討論全文です。
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平成21年度予算への反対討論(2009年3月27日)
○大場やすのぶ 議長 これより意見に入ります。
意見の申し出がありますので、順次発言を許します。
なお、意見についての発言時間は、議事の都合により一人十分以内といたします。
二十三番木下泰之議員。
〔二十三番木下泰之議員登壇〕
◆二十三番(木下泰之 議員) 平成二十一年度世田谷区一般会計予算外五件に反対の立場から意見を申し上げます。
昨年秋に提出した会派無党派市民の予算要望の表題は、今こそ政策転換し、エコロジカル・ニューディールを牽引せよでした。その後、米国でオバマ大統領の政権が誕生し、グリーン・ニューディール政策という言葉が有名になりましたが、会派無党派市民が十年来提唱してきたエコロジカル・ニューディールと意味するところは同じであります。
オバマ米大統領のグリーン・ニューディールの提唱が日本にも波及し、日本版グリーン・ニューディールとして太陽光発電を皮切りとした環境諸政策が提唱され始めたのは歓迎すべきことです。しかしながら、日本政府の提唱は中途半端と言わざるを得ません。そして、残念ながら末端の地方政府である我が世田谷区においてもまた同じであります。その原因は、骨の髄までしみついている土地本位制を基礎とした土建国家の習い性にあります。
世田谷区が平成二十一年度に行う経済対策は、土木土建の公共事業の前倒し計画が主体であります。また、不況を口実として、不必要な道路や大規模開発の公共工事をとめようとはしていませんし、市民からの中止要求に耳を傾けようとはしておりません。連立事業絡みの補助五四号線などの道路整備と関連する下北沢や経堂の大規模再開発、さらには二子玉川の高層再開発が典型であります。
一方、日本版グリーン・ニューディールの大きな目玉である太陽光発電については、至ってまだまだ反応が鈍いと言わなければなりません。補助金がつき、売電価格が二倍に引き上げられる限りにおいては、今後普及はしていくでしょう。しかし、今求められているのは、加速度的な普及のためには、住宅地の典型であり、しかも、財政的には比較的恵まれている世田谷区が先鞭をつけることが必要なのではないでしょうか。本年度の予算が太陽電池関係で四千万円では意味がありません。行政が責任を果たすには、学校や公共施設への積極対応こそ必要です。
グリーン・ニューディール、エコロジカル・ニューディールは、環境対策もさることながら、ニューディール、すなわちトランプのカードのまき直し、新規まき直しにこそその意味があります。取り組み次第では日本の基幹産業に太陽光電池をすることもできますし、建設業種のこの分野での仕事もふえます。雇用創出にもつながる環境型の革新技術をこそ、まさに選択的に育てていかなければなりません。
給田小学校の体育館の屋根を不用意に銀色に塗ってしまったための近隣への光公害を太陽光発電で克服してはどうかという問題提起を私はいたしました。このことにはぜひこたえていただきたいと思います。太陽光発電も光るのではということで、それをちゅうちょするようでは話になりません。近隣への光公害を招かない装置もあるだろうし、さらに言えば、光らない太陽光発電をメーカーにつくらせてこそ、太陽光発電の普及につながると私は確信します。
今回の予算議会で議論となった外かく環状線の問題は、日本の交通体系のあり方の全体像をどうレイアウトし直すかが本来議論されなければなりません。外かく環状建設の必要性の理由として、都心への車交通の流入の迂回が挙げられていますが、長距離輸送をトラックに頼り切った輸送体系を改め、短距離自動車配送と結びついた鉄道貨物の復活や新幹線貨物輸送の創設などをオルタナティブとして実行すれば、東京に流入するトラックは減少するため、外環についてはそもそもの必要はありません。
本来のパブリックインボルブメントでは、ゼロオプションをも想定して、その必要性の有無から論じなければならないのに、国土交通省が行ったPI協議会や地域課題検討会では、計画ありきを捨て去ることができておりません。
世田谷区が国土交通省から依頼を受け、公募と運営に関与した、外かく環状の東名ジャンクション周辺地域の課題検討会においては、つくることを前提としていたとしても、世田谷区間が八〇%も地上部を走って東名高速に接続することから、地下ジャンクションを要望し、具体案まで議論したことや、東名どまりの現計画が大気汚染を引き起こすことを心配しての東名以南計画なしの事業についての中止の要請など、公募委員の間で具体的に、真剣にこのことが議論されてきたことさえ、行政側の総括文書である対応方針素案では検討された地域の課題からこれらが外された上、発足当時に国、東京都、区が文書で示した設置方針をたがえて、同素案の同課題検討会への報告なしに検討会を解散してしまいました。
そもそも区長は、東名以南の計画なしの事業は、世田谷区に渋滞や大気汚染を招くことを理由に、以南の都市計画を行うように意見書を提出してきたのであり、その立場からしても、国に抗議こそすれ、国と一緒になって、課題検討会で以南問題が何の検討もされなかったかのようにされていることを黙認したり、同検討会への報告もなしに解散することについて同意する立場にはないはずであります。にもかかわらず、議会でこれに関する質問への回答は、国の同伴者の域を出ておりません。
東名高速ジャンクションからつながる首都高速三号線を初め周辺道路の大渋滞や大気汚染被害をこうむることになる、世田谷区長のとる態度ではありません。とりわけ首都高三号線が通過する上馬交差点では、今でさえ窒素酸化物の現在の緩い基準を満たすことのできない深刻な大気汚染を抱えていることは、区長たる者忘れてはなりません。
京王線の連続立体交差事業の問題について申し上げます。
区長は、予算委員会の総括質問で、京王線の連続立体交差事業について、高架と地下とどちらがよいと思っているのかと私が聞いたことに対して、区長はみずから立ち上がってお答えになりました。高架のほうが地下化よりも安上がりということで、高架のほうがよいと思っているとのことでした。しかし、区長、あなたの認識は全く間違っております。
事実問題として、下北沢地区の小田急線の連続立体交差事業では、調査の段階で高架が一千三百八十億円、地下化が一千四百二十億円と書かれておりますが、わざわざ括弧して、一千四百億円でほぼ同等とも書かれております。しかも、事業認可を受けた際には、地下化の事業費は一千二百五十八億円で、実際の事業費は地下化のほうが高架化よりも百二十二億円も安くなっております。確かに地下化のほうが高架よりも高くつくという論理が席巻した時代がありました。しかし、現在は地下化事業が高いとは言えない時代になりましたし、跡地の利用面積を資産として見た場合には、都市部においては明らかに地下化のほうが有利ですし、高架の際の騒音低減のために北側のみならず南側にも環境側道をとることを考えれば、地下化はさらに有利なのであります。
補充質問の際に、区長に直接発言の真意を聞きたかったのですが、担当役人が遮り、いまだに区長のお答えは聞かせていただいておりません。
担当役人は、下北沢の個別性を挙げていましたが、個別性を主張するのであればなおのこと、現在行われている事業調査の個別具体な条件を区民が評価できるように、調査の与条件の全貌を明らかにするべきですし、金額の多寡以外の総合的な検討を高架と地下に関して評価を行うべきであります。いずれにしても、本来みずから責任を負うべき事業に無頓着であることをさらして恥じないのは理解に苦しむところであります。
そもそも京王線や小田急線の連続立体交差事業について、計画段階の情報を世田谷区の担当役人が手に入れていない、知らなくてもよいという態度はあってはならないことでありますが、実際にそのようにしております。あるいは言い張っております。情報公開制度で存在しないものは開示できないというふうに居直るとしたら、民主主義も地方分権もあったものではありません。区民主体のまちづくりや市民参加という言葉を安直に使うのはやめていただきたい。
以上、今回の予算議会でも、これまでの硬直化した区政の対応は何ら変わっておりません。変わるべきこの今、変わらないのは残念であります。熊本区長不信任の立場から、全予算に反対せざるを得ません。
以上述べまして、一般会計予算外五件の予算すべてに反対する意見といたします。
○大場やすのぶ 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。