平成22年度第一次補正予算反対、畦畔の時効取得条例に賛成の討論 |
9月28日に本会議場にて、平成22年度第一次補正予算への反対討論と畦畔の時効取得のための条例改正に賛成の立場からの討論をおこないました。
補正予算にもりこまれたプレミアム付区内商品券は景気浮揚とは無縁のバラマキ政策として批判し補正予算に反対。世田谷区が最高裁で負けてやっと提出してきた畦畔条例には、「区長は区民にまずは謝れ、改正条例の経緯、改正理由を充分に広報せよ」と注文を付けて賛成しました。
以下は議事録です。
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○川上和彦 議長 以上で企画総務委員長の報告は終わりました。
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○川上和彦 議長 これより意見に入ります。
なお、意見についての発言時間は、議事の都合により一人十分以内といたします。
発言通告に基づき、順次発言を許します。
二十三番木下泰之議員。
〔二十三番木下泰之議員登壇〕
◆二十三番(木下泰之 議員) 上程されました議案のうち六十二号から六十七号までの補正予算(第一次)について反対の立場から、議案六十八号につきましては賛成の立場から討論を行います。
最初に、平成二十二年度の第一次補正予算について、反対の立場から意見を述べます。
私は本予算に区長不信任の立場から反対してまいりました。補正についても基本は反対であります。
今回の補正予算の中で、とりわけ意見を述べておかなければならないのは、一般会計予算の中に、プレミアム付区内共通商品券の追加発行に関する支援発行額五億円に対するところの助成金として、五千九百三十二万六千円が組まれていることに対してであります。本予算に加えた追加助成ということになりますが、プレミアム付区内商品券につきましては、その運用について、助成そのものには賛成する他会派からも批判があることはご存じのとおりです。
商品券は、発行すると即日、しかも数時間もたたないうちに完売ということになっているそうですが、一割のプレミアムがつく金券である以上、事の成り行きは当然のことであります。金券の販売が商店街任せであるために、公正な運用にとって問題が多々指摘されております。区民の税金を使う以上、区民にとって機会均等でなければなりませんが、そうはなっていないのであります。しかしながら、問題は運用もさることながら、商品券に税金が投入されているというばらまき助成自体にあります。
商店街の衰退は構造的なものであります。都市再開発、不動産開発によって大手の商業施設が進出し、既存商店街が追いやられるという事態に加えて、土地所有者の、あるいは店舗所有者の既存商店は商売よりも不動産利得に方向を転換してしまう傾向にあり、また、この傾向を、世田谷区政は大規模再開発の担い手となり、また後押しをすることによって推進しているのであります。東急線二子玉川再開発や連続立体化による小田急線、京王線沿線の大規模再開発は、世田谷区政が後押しをする不動産開発の典型であるということは言うまでもありません。
都市は時代とともに変わるものであることは認めるところであります。しかしながら、都市の変化をより人間的なものにコントロールすることは、国家や地方自治体の役割であります。既に一九六〇年代にアメリカのジェーン・ジェイコブスが指摘したように、コルビジェ型の大規模再開発は都市におけるコミュニティーや人間性を破壊します。町は徐々にゆっくり変わらなければなりません。古いものと新しいものが共存することが必要です。古いものこそ大事ですし、道は曲がりくねっていたほうがよいのであります。そして、日本が成熟化社会を迎えている今だからこそ、個人商店、あるいは小規模商店や小規模商業活動の役割はますます必要になってきているのであります。商店街を本当に大事にしようとするならば、区政の進む方向性の抜本的な転換が必要です。住宅都市世田谷こそ成熟化社会の最先端なのですから、これに見合った都市政策と商店街活性化策が必要であります。
高度情報化社会に見合った個人商店や小規模商業の再構築は、若い世代も参加してこそ可能であります。例えば下北沢の町を歩けば、そういったヒントは幾らでも転がっているのであります。下北沢といえば、店舗を借りて営業しているところがかなり多いということであります。既存商店街もありますけれども、もちろんそこの店舗も借りたりして商業を営んでいるところが多いわけであります。そういったところが新たな商売の方法、いろんな文化と結びついた商売のやり方、そういったものもつくり出してきております。そういったことを大事にする、そういったことこそ今必要であると思いますけれども、残念ながら世田谷区政はそれを後押しする方向ではなくて、既存の大規模再開発のほうに手をかしてしまう、そういった形でずっと続けてきているわけであります。こういったことは転換されなければなりません。
今必要なのは新たな発想、イノベーションです。イノベーションといいますと、「マネジメント」を書いたドラッカーという経済学者の概念ですけれども、まさに、今こそイノベーションが必要なときであります。残念ながらそうなっていない、そのことを強調いたしまして、世田谷区政はプレミアム商品券でお茶を濁すようなことをしてはならない、そういったことを申し上げて、ばらまき型の助成に税金を使うことに反対を表明いたします。
次に、世田谷区財産の交換、譲与、無償貸与等に関する条例の一部を改正する条例について、賛成の立場から意見を述べます。
この条例改正案は、区が国から譲与を受けたとされる畦畔についての時効取得に係る訴訟で、世田谷区が住民に敗訴し、最高裁でこれが確定したことを受けて行われる改正です。
この問題に関しましては、都市整備委員会でも意見を申し上げてまいりましたが、いわゆる畦畔につきましては、平成十六年四月に世田谷区が国から譲与を受けたもののうち、区民が既に時効取得を受けてしかるべき土地が含まれていたことに起因しております。いわゆる簡便法によりまして一括大量に世田谷区が譲与を受けたもののうち、区民が既に時効取得を受けてしかるべき土地が含まれていたのであります。
いわゆる簡便法によって一括大量に世田谷区が畦畔をもらい受けてしまったということが原因ですが、今回の改正条例はこの最初の過ちを是正するものではありません。最初の過ちを是正するには、国に一括返還の後、確実なものだけ再度譲与を受けるという抜本的な対応が必要であります。また、既に区民に有償で売却してしまった土地の再検証という作業も残されておりますが、これも手つかずのままであります。区長はこの抜本的な対応策をとらないとしており、極めて問題であります。
しかしながら、今回の条例改正は、区民が望み出れば、国が管理していた時代と同様に、区を相手に時効取得ができるようにしたものであり、これまで裁判を最高裁まで闘わなければ是正できないという硬直性から免れることが可能になる改正案であることは間違いありません。
このような改正は、簡便法で一括大量に世田谷区が畦畔をもらい受けるという乱暴なことを世田谷区がやる以上は、その際に、今回のような条例改正はしておかなければならなかったはずでありますが、そうはなってきませんでした。
この条例案には賛成いたしますが、この改正は、区長や国が犯した過ちを是正する第一歩にすぎません。条例改正に当たり、区長はこれまで迷惑をかけてきた区民に謝罪をするべきであります。また、改正をする以上、この改正が必要になった経緯やこの改正で可能になることを、区民に積極的に広報することを求めるものです。インターネット等で十分、今回の改正条例の経緯、なぜ改正しなければならなかったのか、そういったことは逐一報告するべきであります。ほおかむりは許されないとあえて申し上げておきます。
以上で意見表明といたします。
○川上和彦 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。