京王線・小田急線の連立調査、世田谷代田駅舎、事業跡地利用と検討委員会について |
以下は会議録です。
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京王線・小田急線の連立調査、世田谷代田駅舎、事業跡地利用と検討委員会について(一般質問)
○大場やすのぶ 議長 次に、二十三番木下泰之議員。
〔二十三番木下泰之議員登壇〕
◆二十三番(木下泰之 議員) 通告に基づき、一般質問を行います。
最初に、京王線や小田急線の連続立体交差事業調査についてお尋ねいたします。
この調査は、国の事業認可を得るのに必須の基礎調査です。いわば事業のマスタープラン調査で、総合アセスメントも義務づけられております。調査主体は東京都ですが、事業が行われる地域の基礎自治体と緊密な連携をとって行われることが、国の定めた調査実施要領にも書かれております。
京王電鉄については、現在、東京都が代田橋~八幡山までの区間で調査を行っておりますが、実は一九八七年度、一九八八年度にも、区間、距離は多少違うものの同様の調査を行い、一九八九年三月に報告書をまとめております。ところが、その後、京王線では連立事業は行われず、再度仕切り直しで、改めての連続立体交差事業調査を行っているのです。
当然のことながら、今行われようとしている京王線の連続立体交差事業を世田谷区や世田谷区民が考えていく際には、一九八九年三月の調査報告書は大いに参考になるのは言うまでもありませんし、参考にしなければなりません。沿線住民や区民は過去の経緯について知る権利があります。そこで、この調査報告書について、世田谷区に開示を求めましたが、世田谷区は報告書をもらっていないと言うのです。そこで、とにもかくにも報告書を手に入れるべきだと主張し続けたところ、最近になって、担当者は東京都で同報告書を見せてもらったとの報告を公共交通特別委員会で行いました。しかしながら、担当者は、東京都から見せてはもらったが、世田谷区が手元に置く必要はないので、報告書のコピーはもらわなかったとし、また、もらう必要もないと言い放ちました。
この不可解な扱いは、京王線と全く同時期に行われた小田急線の連続立体交差事業の調査報告書についてもいわば一貫したものとなっていて、区は同様のことを言い続けてまいりました。住民が東京都と裁判まで行って、和解を経て、やっとのことで非開示の黒塗りの残る報告書を一九九三年三月に手に入れた際も、世田谷区が手に入れたのは下北沢地区とまちづくり部分を隠した住民と同じ黒塗りの資料であり、全部をもらわなかったと世田谷区はしており、このこと自身、極めて不可解です。
もともと狛江地区の小田急線の連立事業の際には、狛江市議会の議員には調査報告書は配られております。また、調査実施中には、当時の川瀬助役と市民団体が交渉した際に、中間報告を行うとまで川瀬助役は約束したこともありました。しかしながら、その後の世田谷区とのやりとりでは一貫して、世田谷区はみずから進んでは連続立体事業調査報告書はもらわないことにしております。
一体、この情報秘匿体制は何なのでしょうか。京王線、小田急線の連立事業の調査報告書を取得しない理由をお伺いいたします。連立事業の都市計画法、道路法上及びいわゆる建運協定や連続立体交差事業実施要領などの制度上の位置づけについてご説明をしていただいた上で、なぜ京王線や小田急線の連続立体交差事業の調査報告書を世田谷区は受け取らないようにしているのか、その理由をお伺いいたします。
その上で、連立事業調査報告書を受け取らずに基礎自治体としての責務は果たせるのか、仕事ができるのかをお伺いいたします。
次に、世田谷代田地下駅舎の地上駅舎への突然の変更と、住民、議会への情報秘匿についてお伺いします。
世田谷代田の駅舎は地下駅舎で、地上は出入り口のみを設けるということになっていたにもかかわらず、去る九月五日の公共交通特別委員会で、初めて世田谷代田駅の駅舎が地上駅舎に変更されるとの報告がありました。
そこでお聞きいたします。
一、そもそも当初世田谷代田駅舎が地下駅であるとの認識を世田谷区が持ったのはいつか、何によって知ったのか。
二、駅舎を地上駅に転換するという情報については、いつ、何によって知ったのか。
三、世田谷区に相談はなかったのか。転換への検討の方針は知っていたのか。知っていたとすればいつか。
四、この転換を事前に知っていたとすれば、世田谷代田駅周辺住民とのワークショップで、地上駅舎への見直しが検討されるという事実を伝えなかったのはなぜか。
五、既に八月一日から募集を始めた小田急線上部利用についての区民意見募集要領では駅舎は地上となっているようだが、この転換を事前に区議会に報告しなかったのはなぜか。
六、防災との関係について、担当者は詳細を知らず、区議会に説明もできていないが、小田急電鉄や東京都の言い分のみをそのまま受け入れたのかどうかを問いたいと思います。
七、世田谷代田駅の駅舎のあり方、駅前広場、小田急線地上利用については、再度住民説明会を開催し、住民参加を保障した上で、ワークショップもやり直すべきだと考えるが、いかがか、お伺いします。
次に、天下り建設官僚参入の小田急線跡地利用区民意見検討委員会と極端に限定した意見募集についてお聞きいたします。下北沢地区の小田急線の上部利用問題とは、鉄道を地下化した際の連続立体交差事業での上部利用問題そのものであります。
一、世田谷区は七月八日に、学識経験者を入れて区民意見検討委員会をつくりましたが、この委員会の人選についてお伺いいたします。どのような基準で委員を選んだのか。とりわけ計量計画研究所常務理事の矢野隆氏は、旧建設省大臣官房の審議官で、連続立体交差事業の責任者でもあった方です。マスコミ報道もされた、いわゆる外郭団体の持参金つき天下り官僚ですが、なぜこのような方を委員に迎えられたのかご説明いただきたい。
二、連続立体交差事業が単なる鉄道事業ではなく街路事業であり、周辺の再開発を含めた総合的な事業であること。事業調査においても、関連事業について総合的かつ一体的な検討が求められていることは、事業調査実施要領のみならず、各種政府の解説文書に書かれているとおりです。にもかかわらず、関連事業の全体像を明らかにすることもせず、極端に限定された部分のみを全体と切り離して跡地利用の意見募集を行うのはなぜか、明らかにしていただきたい。
三、町のあり方にとって重要な駅ビル計画や小田急電鉄の商業施設計画は一体どうなっているのか明らかにされたい。
四、駅施設の上部、下部についてのアイデアや意見募集をしない理由はなぜなのか明らかにされたい。
五、既に世田谷区の上部利用についての量は、公租公課分一千九百平米以外の部分も含めてその目安は決められているようでありますが、全体の持ち分はおおむねどのように決定あるいは協議されたのか明らかにされたい。
六、上部利用については、本来、国と東京都の権限であるが、公租公課分以外を使う場合の財源配分はどのように決定あるいは協議されているのか明らかにされたい。
七、上部利用の使用料金は幾らなのか、買い取るとしたら幾らなのか明らかにされたい。
八、既に下北沢商業者協議会などの市民団体からの公開質問状が提出されておりますが、いまだ回答がなされておりません。とりわけ公開質問は、矢野隆氏初め委員各位にもなされております。公開質問への回答についてはどのように対応するのかお答えください。
以上お聞きしてきましたが、三万九千平米もの広大な空き地が新たに生ずるにもかかわらず、鉄道事業費だけで一千二百五十八億円もの地下化連立事業について、上部利用を含めた関連事業の総合的検討を行政が怠ってきたことは明らかであります。
区は、そもそも連続立体交差事業の調査報告書さえ手に入れようともせず、その結果、一九八九年三月には東京都は地下化方針を明らかにしてきたにもかかわらず、公式には世田谷区はこれを認めず、二〇〇〇年四月に至るまで十二年もの間、高架、地下両用のまちづくりとしか、つまりは高架計画をも前提とした都市計画しか世田谷区は考えてこなかったという歴史的事実が存在いたします。
言いかえれば、緑確保や防災にも有益な三万九千平米もの跡地が生ずることを前提とした都市計画やまちづくりの全体像の検討を世田谷区は怠ってきたわけであります。地下化が前提であれば、路地の町下北沢の町の原点である駅前マーケットの存続は可能でしたし、その存続の是非こそ議論されなければなりません。
総括して最後にお聞きします。通告では3の9です。事業の総合性の観点に立ち、区民からの総合的な意見募集や区民参加を保障した上で、道路、駅前広場、事業全体の見直しを行うべきであると考えます。区長のお考えをお聞きいたします。
◎工藤 交通政策担当部長 まずお答えいたします。連立事業の都市計画法上の位置づけについてお答えいたします。
連続立体交差事業は、国土交通省が補助する街路事業として、現在は平成十九年八月に改定された都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する要綱及び同細目要綱に基づいて、都市計画法の定めるところにより連続立体交差化に関する都市計画を定め、都市計画事業として都市計画事業者が施行しております。
ご指摘の二番の京王線連立調査について受け取ってこなかった理由についてお答えいたします。
ご指摘の調査報告書につきましては、調査が約二十年も前のことであり、現在検討している連続立体交差事業とは計画の前提条件が異なっており、参考とならないと判断いたしました。
次に、小田急線で調査書をもらってこなかった理由についてお答えいたします。
駅周辺まちづくりに必要な情報は、区といたしましても収集に向け、東京都に働きかけております。小田急線連立事業の昭和六十二年、六十三年度及び平成十二年度の調査報告書につきましては、それぞれ世田谷代田駅~喜多見駅間及び代々木上原~梅ケ丘間の事業認可前に取得しております。
次に、自治体としての責務が果たせるのか、仕事ができるのかという質問にお答えします。
京王線につきましては、東京都が改めて調査を行っており、区としましては、今後とも必要な情報につきましては収集に努め、東京都と連携し、まちづくり等を進めてまいります。
次に、世田谷代田駅舎が地下駅であるとの認識を世田谷区が持ったのはいつか、何によって知ったのかというご質問にお答えします。
平成十三年二月の都議会での質疑後、東京都より情報の提供を受けているところでございます。
次に、世田谷代田駅が地上駅であることの認識を世田谷区が持ったのはいつか、何によって知ったのかということでございます。
小田急電鉄より世田谷代田駅舎の見直しの検討を行っていることは本年の四月以降に聞いておりましたが、小田急電鉄の正式な報告として聞いたのは七月中旬でございます。
関連しまして、世田谷区には相談はなかったのか。転換への検討の方針は知っていたのか、知っていたとすればいつかという点にお答えします。
駅舎の見直しの検討を行っていることにつきましては、本年四月以降に聞いておりました。
次に、事前に知っていたとすれば、世田谷代田駅駅周辺住民とのワークショップで地下駅舎への見直しが検討されている事実を伝えなかったのはなぜかという点にお答えします。
世田谷代田駅舎計画の見直しの検討を行っていることを世田谷区が知ったのは四月以降です。地元地域の皆様方が中心となった、世田谷代田駅前の整備に関する世田谷区への提言をまとめるためのワークショップが行われた時期より後でございます。
次に、既に八月一日から募集を始めた小田急線上部利用について、区民意見募集要領では駅舎は地上となっているが、この転換を区議会に報告しなかったのはなぜかという点にお答えします。
世田谷代田駅舎の改札口やコンコースを地上に配置された具体的な計画につきましては、七月中旬に小田急電鉄の正式な報告として聞きました。この情報提供を受け、その後、直近の九月五日の公共交通機関等対策特別委員会におきまして、世田谷代田駅舎計画について報告を行っております。
次に、防災との関係の詳細を知らず、区議会にも説明できないが、小田急や東京都の言い分をそのまま受け入れたのかという点についてお答えいたします。
世田谷代田駅舎につきましては、駅施設が地上に配置されることで、火災時において避難が容易になり、安全性の向上が図れることになり、さらに駅前広場から駅のホームまで昇降施設の乗り継ぎをなくすることができるため、利便性が向上することと認識しております。その上で、九月五日の公共交通機関等対策特別委員会へは、この駅舎計画について報告、説明をしております。
次に、世田谷代田駅舎のあり方、駅前広場、小田急線地上利用について、再度住民説明会を開催し、住民参加を保障した上でワークショップをやり直すべきだと考えるが、いかがかという点にお答えいたします。
この駅舎計画見直しに伴う駅前広場の位置の変更はございません。また、駅前広場への駅出入り口も変わらないことから、地元地域の方々から既にいただいている区への提言は尊重すべきものと考えております。今後とも住民の参加を得て駅周辺のまちづくりを進めてまいります。
次に、駅ビル計画や小田急電鉄の商業施設計画は一体どうなっているか明らかにされたいという質問にお答えします。
小田急電鉄による駅ビルや商業施設の利用計画について提示されておりませんので、現在は存じておりません。
次に、駅舎についてのアイデア募集をしないのはなぜか明らかにされたいということにです。
建運協定により、駅舎等の鉄道上部施設は貸し付け可能部分から除外すべきものとされていることから、今回のアイデア募集では駅舎部分についての募集は行っておりません。
上部利用について、本来、国と東京都の権限であるが、公租公課分以外を使う場合の財源配分はどのように決定あるいは協議されているかについて明らかにされたいというご質問にお答えします。
連立事業には、お話しのような財源配分についての定めはございません。
次に、関連して、連立事業の総合性の観点に立ち、区民からの総合的な意見募集や区民参加の検討を経た上で、道路、駅前広場、事業全体の見直しを行えという質問にお答えします。
連続立体交差事業と交差する駅広、街路など総合的に検討した上で都市計画決定をされてきているものでございます。今後とも住民参加を得て、駅周辺のまちづくり事業を進めてまいります。
以上でございます。
◎真野 生活拠点整備担当部長 私からは、小田急線の上部利用につきまして、五点のご質問にお答え申し上げます。
まず小田急線上部利用区民意見検討委員会の委員についてのご質問をいただきました。
区といたしましては、小田急線の上部利用につきまして、広く区民の皆様のご意見をお聞きするため、アイデア募集を実施してございます。区民意見検討委員会では、お寄せいただいたご意見について、実現性や効果など整理検討する組織でございます。その際に、連立事業、交通計画、産業振興、環境、緑など、さまざまな知識、経験豊富な学識経験者の方々に専門的な見地からのご意見をいただくため、当委員会の委員に加わっていただいているものでございます。
次に、限定した跡地利用意見募集についてのご質問にお答え申し上げます。
区は、上部利用計画を検討するに当たりまして、連続立体交差事業にあわせ、駅周辺まちづくり基本計画、平成十四年、同整備計画、平成十五年の中で土地利用の基本的な考え方等方向を示してございます。その後、平成十七年三月には上部利用方針を策定してきてございます。
今回のアイデア募集は、これらを踏まえ、さらに区民の皆様からのアイデアをいただくものでございます。公共利用の協議は、建運協定に基づき鉄道事業の運営に支障のない部分となりますので、駅舎等の鉄道業務施設は募集の対象外としてございます。また、既に公共施設の位置、規模等、都市計画決定している下北沢駅前交通広場などの施設につきましてもアイデア募集の対象外としてございます。
次に、公租公課千九百平米の目安も、全体の持ち分はおおむねどのように協議してきたか明らかにされたいというご質問にお答え申し上げます。
区の上部利用方針並びに上部利用計画区案たたき台につきましては、鉄道事業者にも示してございます。区は今後、区民検討委員会の検討結果を踏まえ、上部利用計画の区案を策定し、これをもとに協議を行っていきますので、利用の範囲等につきましてはまだ決まっておりません。
次に、上部利用の利用料金は幾らなのかというご質問にお答え申し上げます。
上部利用の使用料につきましては、建運協定に基づきまして、公租公課分以外を公共利用で使う場合は、原則、鉄道事業者の定める貸付規則により算出するものとなってございます。
次に、市民団体からの公開質問についてのご質問にお答え申し上げます。
区民アイデア募集につきましてご質問をいただいております。回答する予定でございます。
以上でございます。
◆二十三番(木下泰之 議員) 問題は、連続立体交差事業というのは総合的な事業なんですね。それで、総合性を考える場合には、駅ビルに何が入るかというのは一番大事な要素なんですよ。しかし、それについて一切情報をとっていないで、総合的な検討をするということ自体がおかしなことだと思います。
それから、駅舎の下や上については、これは使えますよ。その辺についていかがですか。
◎工藤 交通政策担当部長 商業施設については、先ほど答弁したとおりでございます。まだ情報を入手しておりませんので、まだここで言える状況ではございません。また、駅舎の上部、下部につきましては、協議すること自体は可能だというふうに認識しております。
◆二十三番(木下泰之 議員) 協議することができるんだったら、それはアイデア募集すべきだしということだと思います。
それから、連立事業の基礎調査をとっていないのは甚だ不可解です。今後対応します。
○大場やすのぶ 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。