【2012年10月3日決算特別委】連立事業の情報開示を問う |
【解説】10月2日に京王線の高架事業(線増特急線のみ地下)都市計画告示がなされました。同計画と全線地下化案の比較をするに不可欠な費用比較情報の入手検証もないままに、保坂区長は都の高架計画を容認し、なおかつ、高架を前提とした側道と明大前と千歳烏山駅2駅の駅前広場の都市計画を自ら決定してしまいました。保坂区長就任後、この費用比較が掲載してある連続立体事業調査報告書の全面開示を要求したとしていますが、実際にはこの情報開示問題について、全庁的な協議もしていなければ、文書で東京都に正式に求めてもいないことが、今度の質疑で明らかになりました。
また、沿線住民の運動の成果で地下化を実現した小田急線下北沢の上部利用については、保坂区長が震災対応に以前尾の計画を手直したことで東京都や小田急との間に紛争がおき、注目されていますが、板垣副区長はそもそもの利用料(賃貸料)情報すら得ていないと答弁しました。
国が定めた要綱(「建運協定」)では事業で新たに生じた土地の利用については都市側が優先利用を主張でき、一定面積(15%)は無料で、それ以上は有料で使用でき、電鉄会社は利用について協議に応じなければならないとされています。にもかかわらず、副区長は都市計画事業で新たに生じた土地について「小田急さんが元々所有している土地小田急の土地」と表現し、利用料情報すら小田急電鉄から得ていないと答弁するありさまです。
東京都や世田谷区の公的利用権の放棄の問題が下北沢地区の小田急線連立事業での上部利用での最大問題であり、裏返せば、連立事業の公的資金を私企業の開発利益に便宜供与していることにほかなりません。下北沢地区の小田急線線増連立事業は1280億円の事業規模。東京都が実施した法定の連立事業調査報告書には既に環状7号線上部の鉄道橋を歩道橋に変えることや、下北沢の上部利用に演劇の街にふさわしい「創作自由広場」の記述もあるのに、鉄道地下化の事業認可後もこの情報を秘匿し、世田谷区自身が同報告書をもらわないようにしてきたという不正常な状況が継続されてきました。こういった情報操作にメスを入れなければ、おざなりな住民参加やシンポジウムのパフォーマンスだけでは、同事業を本来の意味での公的な事業とすることすらできません。
日本最大の公共事業といってもよい連立事業を取り巻く制度上の検討が不可欠ですが、公共事業チェック議連事務局長であった保坂展人区長に問題の本質を把握する努力の姿勢が見られないのが残念です。全区政から95%継続するという物言いの本質が、どういうことであるのかが明らかになったのではないでしょうか。
本会議一般質問と今回の質疑で、世田谷区政の暗闇をあぶりださせることができたのではないかと思っています。
京王線の問題では側道や駅前広場の都市計画を通じて、高架・地下の是非の判断を東京都に迫れるはずの保坂区長が、基礎情報すら入手することなく、東京都の高架計画につき従ってしまったことは指弾されなければなりません。
いずれにせよ、小田急線連立事業では下北沢の都市計画につき直接世田谷区長が権限を握っている補助54号線や駅前広場について、保坂区長がどのような対応をするかが、今後、大きく問われます。(2012年10月4日)
【2012年10月3日決算特別委員会 企画総務委所管質疑】連立事業の情報開示を問う
小田急線下北沢上部利用料、京王線高架・地下費用比較の基礎情報を世田谷区が入手しようともしない連立事業では保坂区政の「情報公開と住民参加」などあったものではない!
委員長 木下委員
木下委員 小田急線や京王線の連立事業については世田谷区全体で取り組むという取り決めがあったと思うんですけど、そのへんは経過いかがですか。連絡調整会議を持ちながらやっていくと、そういうことになっていましたよね。
委員長 板垣副区長
板垣副区長 連立事業に伴うまちづくり等については都市整備領域にそういう検討会等を作りまして、検討会等をやっております。以上です。
委員長 木下委員
木下委員 費用の問題とかも色々関わってくることもあるでしょうし、それから今、上部利用の問題で世田谷区と東京都の間で大きな、ある意味で交渉ごとにはなっているわけで。そういったことについては例えば、小田急線の上部利用についていったいいくらで貸してくれるのか、あるいは買い取ることができるのか、そういうことについては協議とか、あるいは政策会議などで議論したことはあるんですか?
委員長 小田切政策課長
小田切政策課長 はい。そういう各領域のものについては上がってきますが、私の記憶ではこの件についての政策会議に附議されたものは今のところないと思います。以上です。
委員長 木下委員
木下委員 ただこれは前から懸案の問題であって、上部利用についてはこれまで世田谷区があまり大きな主張をしてこなかったからね、その議論にはなってこなかったけれども、実は上部利用については、いったいいくらで利用できるのかと、それが大きな課題だったんじゃないですか。そういう数字についてはつかんでないんですか?
委員長 板垣副区長
板垣副区長 今、小田急上部についてこの間議会でも色々御異論がありましたけれども、上部利用について公表してきてるわけですね。それは区民からの意見を聞くために、その素材として公表してます。それでその中で今後小田急電鉄とも協議しながら、どの部分を区として借りるのか、あるいは買うのかみたいな面積的なことは、今後協議の中で決まってきますので、その中で今おっしゃる区の負担が出てくるかということを含めて区として政策決定をしていくという、そういう過程にあるということでございます。以上です。
委員長 木下委員
木下委員 上部利用については都市側が必要なところについては申し出ることができて協議することになってるんですね。そうすると世田谷区が申し入れている分については東京都から、どこからどこまで利用するということについては世田谷区に任せると、そういうプランを建てたんですか。どうなんですか。
委員長 板垣副区長
板垣副区長 いわゆる鉄道事業者がそこの土地については持っているわけですので、いわゆる上部利用について検討会議を開き、その中で世田谷区がどういう使い方をするかとかについては、当然相談にはのっていただきますけれど、ただ世田谷区がプランを作れば全部それが成り立つわけではありません。それで小田急さんが元々所有している土地の中でそういう世田谷区の利用についてもですね、どういう協議になるかというのを、まさにそれを今やっている最中です。以上です。
委員長 木下委員
木下委員 認識が全く間違ってるんですね。つまり連立事業の場合は都市側が事業について一つの方針を出すことできるわけですよ。それについて鉄道側と協議することになっているわけですね。それで世田谷区は上部利用について少なくとも東京都から当該自治体としてプランニングを出せというように言われてきたわけ。しかしそのプランニングを出すにあたって利用料金が幾らであるか、あるいは買う時に幾らであるかとさえつかんでいないでやっているとおっしゃっている。それは本当かウソか分かりませんけれども。少なくとも梅が丘の病院跡地については95億というような数字も出てきているわけですね。そうすると具体的な数字も出さずに上部利用について、一体世田谷区は何を今まで検討してきたのか? そのことが非常に不鮮明だし、先ほどの説明も非常に分かりにくい。
それで聞きますけれども、今度は京王線の連立事業について、情報開示が無いままに世田谷区は高架を容認しました。これは世田谷区として東京都に対して情報公開を求めたんでしょうかね。どうなんですか? 求めたんですか?
委員長 小田切課長
小田切課長 その件についての情報としては政策経営部の方にも詳しい情報は入っておりません。以上です。
委員長 木下委員
木下委員 だいたい情報開示を求めたといいながらですね、文書で断られたという形跡もない。つまりそういうことについて争おうという相談もしていない。このこと自体が非常に問題なわけですよね。つまり元々行政間の情報については、これは当然上部利用なんかを検討する時には、世田谷区も情報を提供しているわけですから、調査報告書などはもらってなきゃいけないわけですね。それが来ていないという説明になっているわけですね。少なくとも私達市民や議員に伏せることは条例上できるでしょう。ただ東京都が世田谷区に情報を渡す、あるいは世田谷区が東京都から情報を取る。そういうこともこの問題についてできないんですか?
委員長 板垣副区長
板垣副区長 この件につきましては、再三答弁をさせていただいてますが、昨年私も東京都に行きまして、連交調査の報告書を区の方に出していただくようにお願いにあがりました。その結果、連交調査をいただきましたけれども、一部非開示というような状況になっております。それは東京都の情報公開の条例の関係上、世田谷区に対してですね意思形成過程の中、一部非開示とさせていただくということで、その調査をいただいたということでございます。
委員長 木下委員
木下委員 正式に情報開示請求をしたんですか。それで先ほどのような文書が来たんですか? それについて争うということにも議論したんですか、どうなんですか?
委員長 板垣副区長
板垣副区長 私が申し出にいって、その後日連立調査報告書をいただいたというそういう経緯です。
委員長 木下委員
木下委員 キチッとした情報開示に対して世田谷区は東京都に申し入れたわけでもなければ、それについて文書で回答が来たわけでもない。そういったことについてずーっと放置している。そのこと自体が問題の混乱をずっと引き起こしてきたし、これは小田急線の上部利用だってそうなんですよ。連立事業調査報告書についてはもらってないと世田谷区は言い張っている。しかし厳然とその調査報告書はあるわけです。上部利用については、下北沢などについては創作自由広場まで作るって書いてあるんですよ。東京都と小田急が調査した調査報告書の中にそういうことが書いてあるわけです。そういったことについてもですね、全然触れてこないで、そして区民に対して住民参加って言っていること自体が間違い(チャイム)だ……。
委員長 以上で緑の党Greens Japan世田谷の質疑は終わりました。