教育長にヘレン・カルディコット医師への評価を聞く |
【解説】2月25日の一般質問でのヘレン・カルディコットさんの講演会を聞いてから川場村移動教室については判断するとの区長答弁を受けて、移動教室の実施主体である教育長にその後の対応について、区長との協議がどうなっているのかを聞きました。区長は一応の報告を教育長にはしているようですが、対応についてのきちんとした協議は未だになされていないというのが、教育長答弁でわかります。
ヘレン・カルディコットさんが東京も深刻に汚染されているという地図を示して、川場に行かせることは止めたほうがいいといったということについては区長も把握していることはわかりました。
保坂区長には3月12日に、教育長には3月18日にそれぞれヘレン・カルデコットさんの1979年の著書「核文明の恐怖」(高木仁三郎他訳、岩波書店)を資料としてお渡ししてあります。
3月19日の質疑では教育長はしっかり読まれたうえで、ヘレンさんへの人物評価もなさっています。ハンナ・アーレントになぞらえてのコメントは一つの見識だとは思いますが、子どもの命と教育を預かる教育長には小児科医のヘレンさん以上に放射能問題には慎重になっていただき、撤退を決断していただきたいと望むところです。
さて、区長はヘレン・カルディコットさんの講演会を聞いて、川場移動教室の実施の是非についてどのような態度を示すのかは3月24日午前10時00分からの補充質問(8分間)で明らかにされるとじは思いますが、3月19日の時点においても決断を示していないということは驚くべきことです。
3月24日の補充質疑での答弁にご注目ください。
質問中にヘレンさんについての英語版ウィキペディアのことを引用しましたので、リンクを張っておきました。
なお、予算委員会質疑は区議会中継録画で視聴できます。
教育長にヘレン・カルディコット医師への評価を聞く
木下委員 一般質問の中でですね、区長がヘレン・カルディコットさんという世界的に著名なお医者さんですが、原発問題、あるいは反核問題に取り組んできたお医者さんですが、このかたの講演会が3月13日にあると、で、この講演会を聞いてから川場村についての判断はするんだとという主旨の答弁を、私の一般質問の時にしております。この総括質問の中でもその問題を取り上げまして、区長も答えておりますので、教育長もそこの場にいたと思うんですが、何か13日に講演会が終わって、その中でヘレン・カルディコットさんは内部被曝の問題なんかをかなり問題にし、東京でも危険性があるんだというようなことをおっしゃって、後で質疑の中では明確に川場村に子どもを行かせるのはよろしくないと、もし移動教室を実施するのであれば、放射線の少ない関西とかそういったところでするべきだと、そういう発言をされてるんですが、区長から何かこの問題で、ご相談かなにかありました?
委員長 堀教育長
堀教育長 あの、現段階では、何て言うんでしょうか,専門的というか本格的な相談はまだございません。ただ今回の件に関しましては、13日区長は行っておりますので、その感想等の意見の方はお聞きしております。以上です。
委員長 木下委員
木下委員 どんな感想を漏らしておられました?
堀教育長 今、委員のお話にありましたように、質疑の中で川場村の話が出たということで、何て言うんですか、図面を地図を見させていただきましたけど、その地図によると3・11の福島原発によりまして、関東を含めまして、大変危険なエリアであると、そういうことを踏まえて川場村への移動教室ってことをおっしゃったってことを、もしあの地図がそういうような形であるとすれば、関東地方に生活することそのものも厳しいんではないかと、たいへん極めて慎重な見方というようなことをおっしゃっていました。以上でございます。
委員長 木下委員
木下委員 ヘレン・カルディコットさんはですね、1971年にフランスの核実験に対して反対してオーストラリア人ですからね。それで大気核実験を止めさせたというそういう実績もあられて、1979年にスリーマイル島の事件が起きる直前にですね「核文明の恐怖」という本を書かれております。これ教育長にもお渡ししたし、区長にもお渡ししてるんですね。この「核文明の恐怖」という本は、ざっとごらんになってどんな感想をお持ちになりましたでしょうか。
委員長 堀教育長
堀教育長 はい、木下委員から宿題をいただきまして、昨日一生懸命読ませていただきました。(場内 笑)さすがは文教だなと、教師から宿題をいただいて頑張って読んできましたが、感想としましては、大変エネルギッシュな方だなと思いました。随所にですね、私だったら何が出来るか、個人として何が出来るのか、諦めてはいけないというようなことが随所に書いてありまして、ヘレン・カルディコットさんが小児科医として最初に医学校に入った年に、放射線の発ガン作用と遺伝作用を学んでいると。このことが彼女の、彼女のと言ったらアレですけどね、ヘレンさんのその後の行動を位置づけたのかなというようなことも感想としてあります。で、読み進めるうちにですね、大変恐縮ですが、木下委員と大変ご主張が重なっているなというふうな顔が浮かんでまいりました。で、そういう流れの中で私思いましたのは、ヘレンさんは意識を持てと、行動しろということをおっしゃっておりますが、至らぬ経験で「ハンナ・アーレント」という岩波ホールでユダヤのナチス戦犯についての映画がありましたが、そこでハンナ・アーレントは、アイヒマン、アイヒマンでしたっけ? ナチス戦犯に対して弁護、擁護するんですね。それは彼が悪いわけではない。考えていない。その中では悪の凡庸という言葉を使っておりましたが、無自覚である無関心であるというようなことが悪いんだとおっしゃっておりまして、そういうことを感想として思いました。で、最後に思いましたのは、この本はですね、目次の前に謝辞っていうところがありまして、有益な批判をいただいた方々に15人の名前をあげておりましたが、深く感謝するということがあって、大変これは昭和50年代後半の本だと思いますが、今、私多様性とか反対する意見を聞くというのが当たり前になってきておりますが、その当時にこういう方々の名前を挙げるというのは大変感動しまして、さすが科学者という感想を持ちました。以上でございます。
委員長 木下委員
木下委員 まぁ世界的にも尊敬されている方だと思うんですね。それで1985年にはこの方がお作りになった団体の傘下に核戦争防止医師会議ってのがあって、それがノーベル平和賞をもらっていると。それでWikipediaで調べてみたんですね。私は実は区長が挨拶に行かれると、この講演に挨拶に行かれるっていうので初めてヘレンさんについて関心を持っていろいろ調べたんですね。そしてヘレン・カルディコットさんの英語版のWikipediaを見ていきますとね、一番下の方に反核運動って欄があるんですよ。英語で書いてありましてね。それでそこにPeopleってところがあって、最初に出てくるのが秋葉忠利さんなんです。広島市長。それからその後にヘレン・カルディコットさんの名前が出てきて、その後に保坂展人さんの名前が出てくるんですよ。だからだいぶ前から保坂展人氏はそういう流れのお付き合いがあったのかなと。考えてみれば社民党で反核や反原発の運動をやっていた中で、おそらく秋葉さんと保坂さんがいっしょに並んでると思うんですね。そうするとヘレン・カルディコットさんもその中でいっしょに出てきてるってことがね、前から保坂さんはお知り合いだったのではないかと。その方の講演会に行かれて20分も挨拶されてるんですね。ですからあそこで言われたことについてそうとう保坂さんは尊重されるのかなと思って。私はヘレンさんに対していろんな意見も持ってますが、大事なことは内部被曝についてちゃんとおっしゃっている。それからやはり川場村に子どもを行かせるのはよろしくないとキチッと言っているわけですね。ぜひ教育委員会としてもですね、総合的にいろいろ検討されてですね、ぜひ場所を変えるようにしていただきたいと、それがやはりよろしいんじゃないかと。で、特に行かせてしまっているためにね、世田谷区にいろんな不都合が出てきて、また教育上もよろしくないということがたくさんあると思うんですよね。ですからこれを機会にぜひ改めていただきたいというふうに思います。いかがですか教育長。
委員長 堀教育長
堀教育長 先ほどお話しましたようにヘレンさんは批判をする方々を尊重しております/ですので、木下委員とは見解が異なるかも知れませんが子どもの安全性を確保して対応したいと……
委員長 以上で無党派・緑の質疑は終わりました。