和解原告団、保坂展人世田谷区長に要請書を手交 |
低層の街が育てた個性的で魅力ある街・下北沢を守り、公共空間を創設するために、保坂展人区長に要請します。
2016年6月4日
世田谷区長 保坂展人 様
「まもれシモキタ!行政訴訟」原告団長 原田 学
小田急訴訟弁護団 代表 弁護士 斎藤 驍
まもれシモキタ!行政訴訟の会 会長 原田 学
155-0031世田谷区北沢2-9-19植松第一ビル201
コモン法律事務所内
要 請 書
小田急連続立体交差事業に伴う補助54号線および駅前広場区画街路10号線下北沢開発問題について争われてきた一連の下北沢についての行政訴訟は裁判所の異例の努力により住民原告と行政との和解という形で決着を見ました。
去る5月21日に私たちは「下北沢・開発見直し和解勝利記念パーティー」を開催し、元最高裁裁判官を含む法曹界や都市計画の専門家の方々の参加も得て、この行政訴訟の和解の意義について確認しあいました。この記念パーティーに保坂展人区長からは「私も区長として下北沢の魅力をもっと引き出せるよう、職員とともに『参加と協働』でまちづくりに真剣に取組んでいく。」とする趣旨のメーセージをいただきました。誠にありがとうございます。
さて、下北沢地区の補助54号線の2期3期を優先整備路線から外すという原告側の要求が実現したことはこの和解決着の前提条件をなすもので、3月30日に法廷外で、東京都はその方針確定を公表しています。
これに加えて、和解を成立させたのは公開の裁判所で行われた被告東京都参加人の世田谷区の意思表明でした。
その前文には次のように謳われています。
「原告らが,平成27年12月28日に,「下北沢再開発の『見直し』意見書」(福川意見書)を踏まえて,「原告らの和解に対するスタンス(和解案の概要)」を提案し,裁判所からは,本件紛争を円満に解決し,下北沢における道路整備及び街づくりに関するさまざまな意見の対立を超えて,自治の担い手である住民と行政の協働を形成することにより,下北沢の魅力を更に発展させていくことが大切であるとの認識の下に,平成28年3月16日付けで早期解決の勧告がなされたことを受けて,参加人世田谷区は,次のとおり,意思を表明する。」
3項目の意思表明は、要約すれば以下の通りです。
1、「世田谷区小田急線(代々木上原駅~梅ヶ丘駅間)上部利用計画」を基に、・・・小田急電鉄と調整しつつ,・・・区民等の憩いの公共的な空間となるよう整備を進めるものとする。」
2、「『道路占用許可の特例制度』等を 利用して,歩行者が主体で活気ある街として,一体とした街づくりを進めるものとする。」
3、「下北沢の良好な街並みの維持・発展について必要な対応をするものとする。」
前文でいうところの「下北沢の魅力」については、裁判所は和解勧告時の和解案で「参加人世田谷区は,下北沢の現在の低層の街並みが地区の生活と文化を育み, 下北沢を 個性的で魅力のある街としていることに留意し、・・・下北沢の良好な街並みの維持・発展について必要な対応をするものとする」と規定しています。
そのような下北沢の魅力を守るために世田谷区は「必要な対応」をとること、および、小田急線の上部利用については「公共的な空間となるよう整備を進める」ことを意思表明しました。
このことを踏まえて以下要請します。
記
1、小田急線地下化後の上部利用につき「公共的な空間となるよう整備を進める」ことへの具体的準備を開始すること
①「公共的な空間」にするための小田急電鉄の土地利用の在り方、全体計画の見直しについての検討
②「公共的な空間」とはいいがたい小田急電鉄による賃貸住宅建設等を繰り返させず、小田急電鉄の現時点での上部利用計画をオープンにさせ、「公共的な空間」につき住民が検討したり、要請したりすることができるようにすること
2、低層の街が育てた個性的で魅力ある街・下北沢につき「下北沢の良好な街の維持・発展について必要な対応」について具体的に検討すること
3、裁判和解に対応し、「北沢デザイン会議」等旧来の手法や進め方の再検討を行うこと
4、「福川意見書」を区の計画の中に生かすこと、和解を実現するにあたって役割を果たした公式な文書として取り扱うこと
5、和解過程の資料や裁判資料を街づくりや都市計画の検討に生かすこと、検討素材として利用可能にすること
以上