「新しい公共空間を再考する部会」、保坂区長に「喫緊の課題への要望と質問」を提出 |
世田谷区長 保坂展人 様
「シモキタの新たな公共空間を再考する部会」参加者一同
(世話人 木下泰之 岩渕 聡)
喫緊の課題への要望と質問
保坂区長は、2月23日の区議会本会議において、「北沢PR戦略会議」は裁判和解における区民との協働の場とするのかとの質問に答えて、その一つの場であると答弁されました。
一方、2月25日の第3回「北沢PR戦略会議」の全体会議において、当部会の別紙「活動趣旨」を報告させていただきました。
「シモキタの新たな公共空間を再考する」という活動趣旨、並びに事業が進行中であることを踏まえて、区長に対し喫緊の課題について当部会として、以下、要望するとともに、お伺いいたします。
記
【いわゆる小田急ゾーンについて】
1、「小田急ゾーン」を含めての整備計画の情報を開示することなしに先に進めないでいただきたい。
世田谷区は小田急電鉄との「ゾーニング」を理由に、情報が取れないと弁明していますが、裁判和解での意思表明で「今後は事業完了まで、小田急電鉄と調整しつつ」とし、並びに「自治の担い手である住民と行政の協働を形成することにより」としています。従って情報の全体像が提示されなくては、住民との協働もあり得ないこととなります。そのことは「連立協議会」に参加する当該自治体の責務であり、行政の務めであると考えます。
2、旧東北沢4号踏切から東北沢方面の小田急線地下化後の跡地についてどのような対処をされているのか。
このエリアは南側の地盤面に合わせて造成したために北側に段差を生じています。とりわけ東北沢3号踏切以東では最大4メートルもの段差を生じており深刻です。ここは「住居・商業・業務系ゾーン」かつ「小田急ゾーン」とされており、小田急電鉄発行の「シモキタ・スタイル」においてこのエリアに建物を建てる計画が示されています。2016年6月4日の第4回北沢デザイン会議席上において近隣住民からは計画の撤回を求める発言もありました。この問題につき世田谷区は意向を小田急電鉄には伝えたとしていますが、それ以上の回答は得られていません。
3、本来は公共的空間であるべき線路跡地に独占的・私的空間を持ちこむことを世田谷区はどのように考えているのでしょうか。
代田小学校向いの線路跡地に小田急電鉄が賃貸住宅を建ててしまいました。このような施設は商業施設等とは異なり、開かれたものではないとの声が上がっており、福川意見書においても問題点が指摘されています。世田谷区としてはこの問題にどのように対応し、また小田急電鉄は他のゾーンにおいてはどのようにしようとしているのかお伺いします。
4、旧下北沢3号踏切西側につくられようとしている駐車場については、その是非について検討する機会を設けてください。
このエリアは「小田急ゾーン」であり、周辺住民からは車の導線や事故について懸念されているものの、駐車場の設置事由や規模・仕様などが明らかにされていません。
【世田谷区に対して】
5、2000年10月に東京都によりまとめられた「小田急線連続立体事業調査報告書」から大きく逸脱した部分につき、和解にある「区民参加ワークショップの開催等を通じて区民等の意見を幅広く聞き、下北沢の良好な街並みの維持発展について必要な対応を」していただきたい。
この報告書には広く緑道を取るような図が書かれ、まさに緑の基軸を平面で実現しており、地下駐輪場の整備も明記されていました。また、下北沢駅付近には地域行事のイベント広場の整備や区民サービスセンター、公衆トイレ、交番、情報発信基地としての創作広場(演劇の街の一翼を担う野外劇場)の整備、民間主導の都市生活機能の向上として駅前保育や都市型図書館の適切な位置の配置を検討するとされていました。南北一体化のための自由通路も明記されていたのです。この調査は国庫補助を受けて行われた「街路事業調査」であり「連続立体交差事業の必要性が高い都市において、その都市における都市計画の総合的な検討を行いつつ、事業の緊急性を検討するとともに、都市計画決定、事業計画の作成、測量調査、総合アセスメント等を行うための調査」です。
この法定調査を検証し、逸脱している部分について修正を行い「区民等の憩いの公共的空間となるよう整備を進め」ていただきたい。
6、下北沢駅以西から鎌倉通りの先まで計画されている高架緑道についても、見直し調整の対象とし、拙速に進めることなきよう申し入れます。
2016年6月4日の第4回北沢デザイン会議席上で厳しい批判的意見が上がりました。また、「北沢PR戦略会議」の緑部会のシンポジウムでも同様の意見がでており、支持されているとはいいがたい状況です。また同高架緑道は世田谷区が整備するとし、予算計上がされているにもかかわらず、設計図や仕様さえ示されておりません。既に決めてしまったとして検討はおろか、公開までされない状況は「自治の担い手である住民との協働」とはいいがたいものです。