2018年【年頭所感】 |
小田急線連立事業訴訟の総決算としての
シモキタ開発見直し
和解を生かそう
頌春 20年間の区議生活を止めて早3年、区議の時から継続して取り組んできた小田急線連続立体交差化問題は下北沢行政裁判での2016年春の和解でめでたく決着した、と云いたいところですが、残念ながら、そうなってはおりません。
司法権が下北沢の魅力について、低層の街が育んだと評価し、この街の魅力をさらに発展させるために、基礎自治体である世田谷区と住民が協働して街づくりをせよとして、和解が勧告され、世田谷区と住民双方が公開法廷で意思表明をしこの勧告を受け入れた形で異例の行政訴訟和解が成り立ったのですが、世田谷区政はこの和解の履行を渋ってさえおり、有効な活用をしようとしていません。
問題は連続立体交差事業という道路・鉄道の拡張事業と再開発が同時に行われる巨大国策事業に風穴を開けようとした司法の意思にそった行動を、保坂展人世田谷区長が取ろうとするのか否かにかかっています。
日本における公共事業の見直し問題は、1993年の細川政権の登場の頃からいわれていたにもかかわらず、政治の場では未だ旧弊を脱していません。モリカケ、スパコン、リニア、築地市場の豊洲移転問題はその証左です。
1990年に顕在化したNTT-A資金を連続立体交差事業につぎ込む都市高層大規模再開発計画に反対して「鈴木都政の都市計画を糺す会」(初代共同代表は神島二郎立教大名誉教授他)の旗を揚げ、最初の訴訟に踏み切ってから、26年続いた各種の小田急線連続立体事業訴訟は、1999年にNTT-A資金による第3セクター東京鉄道立体(株)を解散に追い込み、2001年には事業認可を取り消すという東京地裁藤山判決の勝利(最高裁第一小法廷は後に残念ながらこれを覆した)を得ました。
その後も、2005年の大法廷判決では都市計画訴訟の原告適格を環境影響を受けるものへと拡大、2014年の騒音訴訟高裁和解では新たな騒音規制を導入させる等、日本の公共事業を相手にした市民の訴訟としては国や自治体と互角に闘い、官業癒着の公共事業の在り方に修正を迫ってきたと自負するところです。これは強力な弁護団と幅広い専門家の方々との協力の賜物でもありました。
その成果の総決算としての下北沢行政訴訟での「シモキタ開発見直し和解」を保坂展人世田谷区長には、逃げることなく、ぜひとも生かしていただきたいと願うばかりです。
一年間の準備活動を経て、昨年12月16日に、「区長とシモキタ開発見直しを協働する市民の会」を正式発足させました。この団体の共同代表の一人として、この運動を成功させるためにもうひと頑張りしていく決意です。どうかご支援ください。
最後になりましたが、皆様にとって良い年でありますように。
2018年元旦