平成22年度予算に対する反対討論 |
3月29日、区長不信任の立場から平成22年度予算に反対の討論を本会議場でおこないました。
畦畔問題訴訟の最高裁判決で区が負けたにもかかわらず、区民に対しゴメンネも言えない区長。
小田急線での紛争歴史にも学ばず、懲りずに京王線連立事業で高架計画を東京都とともに促進し、二子玉川超高層開発を皮切りに全区に高層開発を広げようとしている区長。
改正学校給食法の学校給食安全衛生基準の内容について知らないし、知ろうともしなかった担当者とこれを是認する区長。
とても予算に賛成などできるはずもありません。
以下は議事録です。
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平成22年度予算に対する反対討論(2010年3月29日)
○川上和彦 議長 これより意見に入ります。
意見の申し出がありますので、順次発言を許します。
なお、意見についての発言時間は、議事の都合により、一人十分以内といたします。
二十三番木下泰之議員。
〔二十三番木下泰之議員登壇〕
◆二十三番(木下泰之 議員) 私は、熊本区長不信任の立場から、すべての予算に反対です。
最初に、畦畔問題、法定外公共物の国から区への移管問題について申し上げておきましょう。
三月九日、成城の事案についての最高裁判決で、時効取得問題で区民との訴訟に世田谷区は負けました。奇しくも同日、三月九日、地裁、高裁と相次いで負けた北烏山の案件について、世田谷区は最高裁に上告しました。これも負けることは目に見えております。区長は即刻上告を取り下げ、まずは世田谷区のこれまでの過ちをわびるべきです。残念ながら、いまだごめんなさいとも言っておりません。
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律が平成十二年四月一日に施行されましたが、財務省ガイドラインでは、いわゆる法定外公共物のうち、里道、水道として現に公共の用に供されている国有財産を市町村に譲与するための法律の根拠を整備したと明記され、市町村が行う譲与財産の特定方法は、市町村の事務負担の軽減と時間の短縮を図る観点から、極力簡便化することと簡便法を認めているものの、譲与の対象となる法定外公共物は機能が維持されているものに限られるとされております。前提条件として、機能の喪失しているものについては、国が直接管理事務を執行することは決定されているのでありますから、現に公共の用に供しているものについては受けてもよいが、機能を喪失しているものについてはもらってはならないのであります。
結局、国に示す方法は簡便法でよいかもしれないが、責任は挙げて基礎自治体にあるわけです。最大の問題は、世田谷区が公共の用に供されているかどうかを確かめもせず、もらえるものはもらおうと、四百七十六ヘクタールも畦畔などの法定外公共物をもらってしまったということにあるのです。賢明な自治体は、簡便法であっても、確実に公共の用に供しているもの、問題のない物件のみをもらっているのでありますから、とんだ失態と言わなければなりません。時効問題の争いが起きることの想像力も持たずに、もらえるものは何でももらおうという姿勢が、最高裁敗訴の結果を生んだと言わなければなりません。
世田谷区の行政は弛緩していると言わざるを得ません。一月に東京都区市の連続立体交差事業の促進協議会が結成され、熊本区長が会長に就任しました。政務官にしか会えていないようですが、二月には政府への要望も行われております。
小田急線の高架事業の問題点や下北沢での高層再開発など、その是正を求めて、これまでもるる指摘してまいりましたが、今度は京王線で無謀な高架計画の準備が始まろうとしております。
京王線は、平成二十年五月に代田橋駅~八幡山駅間の新規着工準備採択を受けていますので、その際に、この区間については構造形式の枠組みは決まっていたはずですが、いまだに東京都はどのような構造形式で新規着工準備採択を受けたのかを公式には明らかにしていませんし、世田谷区に至っては、東京都から構造形式については知らされてもいないとしておりました。
東京都は、昨年十一月には京王電鉄京王線笹塚駅~つつじヶ丘駅間連続立体交差化及び複々線化事業の都市計画素案の説明会を開催し、ことし二月には、同事業計画について環境影響評価の方法書の手続に入りました。
しかし、ちょっと待ってくださいと言いたい。新規着工事業採択の区間が代田橋駅~八幡山駅の四・一キロメートルであったにもかかわらず、いつの間にか事業計画が笹塚駅~つつじヶ丘駅間の八・三キロメートルに変えられてしまっているのです。
連続立体交差事業は、国が半額を補助金として拠出する事業であり、事業費に占める割合は国が一番大きい事業です。したがって、国の同意がなければ進めることができない事業なのです。法で定められた調査報告書をまとめた上で、コストベネフィット指数を国に提示し、新規事業着工準備採択がなされた後、都市計画変更手続やアセスに進むのが国の定めた手順となっております。
ところが、今回は笹塚駅~つつじヶ丘駅間の事業の新規着工準備採択の手続をとることもなく、強引に同区間八・三キロメートル、二千二百億円もの事業の素案説明会を行い、法アセスの方法書の手続に進んでいるのです。にもかかわらず、正確な情報は一向に区民にも区議にも伝えられておりません。財政民主主義の観点からも、このような逸脱が許されてよいわけはありません。
事業計画は在来線の高架化と地下化による複々線化を併用したものです。これまでもさんざん言ってきたことですが、住宅密集地での高架事業は騒音対策を無視した事業であり、許されません。地下化した際の上部空間の緑地などへの有効利用を奪うことにもなります。また、交差道路に抑制をかけず、すべてをつくろうとすると道路公害を引き起し、さらには周辺の高層化を招くことになります。だからこそ、計画段階での十分な情報開示と戦略的アセスメントが必要なのですが、このことに、熊本区長は全く耳を傾けようとしません。
世田谷の超高層再開発の象徴である二子玉川に既に超高層ビルがそびえ立っております。醜悪な超高層ビルを仰ぎ見る周辺の住民の怒りをよそに、二棟目の超高層ビルをつくるⅡ―a街区の準備組合の設立認可が進められようとしております。超高層再開発は既に環境の世紀である時代にそぐいません。長期周期波動地震に超高層ビルは弱いとされております。また、そもそも風致地区である二子玉川に超高層ビル再開発を企画したこと自体が間違いであったと言わなければなりません。
松原小学校の三度にわたるノロウイルス感染がありました。ノロウイルスの集団感染については、松原小学校の父母の中に地域医療のドクターが複数存在し、父母有志の会が問題提起をしてくれたことで、この学校のみならず、世田谷区が抱えている感染症対策の盲点が浮かび上がることになりました。
事実、昨年三月の際も、同年十二月の際も、調理従事者にそれぞれノロウイルス感染者が出ていたということ、本年二月に至っては、給食従事者二名のみならず、管理栄養士にもノロウイルス感染者が出たことであります。二次感染の可能性はあったと見なければなりません。
松原小学校の給食施設は劣悪の一言に尽きます。汚染地域と非汚染地域の部屋分けがきちんとできていないばかりか、入り口に手洗い施設もなく、トイレ室の中にも義務づけられた手洗い設備が欠落しているのであります。全校の給食レイアウトを取り寄せてみれば、改築の古い給食室を中心に基準を満たしていないことが一目瞭然であります。にもかかわらず、文部省に提出された給食施設アンケートでは問題なし扱いになっているのです。
質問を通じてわかったことは、松原小学校の校長も、教育委員会の教育委員長も、保健所の担当者も、昨年四月一日より施行された改正学校給食法の学校給食安全衛生基準の内容について知らないし、知ろうともしなかったということでありました。
学校給食法の改正はノロウイルスやO157対策に焦点を当てて作成されました。危害要因分析に基づく必須管理点と訳されますが、HACCPという手法を使ったもので、これによると、給食室は汚染作業区域と非汚染作業区域とが混在しないように、部屋によって分けられなければならないという厳格なもので、これは同じHACCPを使った厚生労働省の大量調理マニュアルよりも厳しいものになっているのであります。
同法九条三項には次のようにあります。「義務教育諸学校の校長又は共同調理場の長は、学校給食衛生管理基準に照らし、衛生管理上適正を欠く事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善のために必要な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができないときは、当該義務教育諸学校若しくは共同調理場の設置者に対し、その旨を申し出るものとする。」
教育委員会は、区立学校全校の給食室を点検するとともに、給食室改善計画と運用面を含めた緊急避難策を早急に立てるべきであります。答弁で約束したとおり、学校給食法を遵守し、松原小学校を皮切りに、全区の給食施設の抜本改善に取り組むべきであります。このままでは、より危険なO157の感染が出ても不思議ではありません。そうさせてはなりますまい。
以上述べてきた以外にも、下北沢の駅舎問題や跡地利用の問題、補助五四号線の問題、外環問題、給田墓地問題など指摘しなければならないことはたくさんあります。しかし、既に述べた諸点だけでも十分でしょう。熊本区長を不信任とする理由を述べて、すべての予算案への反対意見といたします。
○川上和彦 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。