平成24年度決算認定への反対意見 |
平成24年度決算認定への反対意見
二股膏薬は許されない
一番の本質は節操の問題だ
平成24年度一般会計決算認定に反対する討論を行います。その余の決算認定は賛成であります。
私は平成24年度の一般会計予算に反対しました。保坂区長が選挙公約を違えて、外郭環状、二子玉川、京王線連立事業、下北沢の小田急線連立事業の大規模再開の見直しに着手することもなく予算をつけたこと、区内の小学生を除染調査対象地域である川場村や日光に連れて行く予算をつけてしまい、区が直面する放射能問題に取り組む姿勢を取らなかったからであります。
今般、区民も区も開示を求めていた京王線連立事業調査報告書について、東京都がこれを廃棄したという野蛮な行為につき区長は東京都に抗議さえしませんでした。公共事業問題に取り組む姿勢がないと断定せざるをえません。区長は放射能被害に閾値はないと議会答弁で認めながら川場村に、いまだに小学生を行かせ続けています。結局は子どもを守ろうという意思がないのでしょう。もう、理由は充分です。平成24年度一般会計決算の認定に賛成するわけにはいきません。
さて、今回の決特委では基本構想に連動した町会・自治会加入促進条例の提出の問題点について議論が深められました。また補充質問の際に他会派から11月12日に開催が予定されている「保坂展人と世田谷の未来をひらく会」と題された政治資金パーティーについて、その案内が区の幹部職に郵送され出欠の連絡を求められていたことが判明しました。
二つの問題は関連していて、世田谷区の事業執行や予算や決算の在り方に大きな影響を及ぼすことが推定されるため、問題点を指摘しておきたいとおもいます。
朝日新聞では保坂区長の後援会が区幹部に案内を配ったことになっていますが、耳慣れぬ会であったし、区長も答弁で会の存在について、他人事のように言っていたので都選管に問い合わせてみました。
驚きました。「保坂展人と世田谷の未来をひらく会」は登録されていないのです。この案内には、「この催しは政治資金規正法第8条の2に規定する政治パーティーです。」と書いてあります。ところが案内には、代表者や事務局の名前はなく、呼びかけ人が並べられているだけです。
呼びかけ人が誰か吟味してみましょう。
筆頭は
熊本哲之氏です。肩書は前世田谷区長・せたがや文化財団名誉顧問。
敬称を略し順に言います。
桑島俊彦(世田谷区商店街連合会長)、
大場信秀(東京商工連世田谷地区会長)
井上治三郎(世田谷工業振興協会会長)
宇田川国一(世田谷区町会総連合会会長)
松原宏武(東京中央農業協同組合代表理事組合長)
飯田勝弘(世田谷区目黒農業協同組合経営役員会会長)
古畑正(世田谷区医師会会長)
武田忠浩(玉川医師会会長)
中野幹夫(東京都世田谷歯科医師会会長)
富塚高利(東京都玉川歯科医師会)
小林哲男(世田谷薬剤師会会長)
宮澤一成(玉川砧薬剤師会会長)
渡瀬靖夫(世田谷にみどりいっぱいの会)
侭田平(世田谷区建設団体防災協議会)
この後はテレビなどでも有名な方々が続きます。
菅原文太
岡本厚(友人・岩波書店代表取締役)
香山リカ(精神科医)
松尾貴史(俳優)
松任谷正隆(音楽プロデューサー)
湯川れいこ(作詞家・音楽評論家)
業界団体、職能団体、地縁団体、商店街、農協、医師会、歯科医師会と大変な組織です。
並べられた多くの団体が区からの数々の補助事業を受けているのみならず、まさに今回の議会で議論の的になった町会加入促進問題では当事者となる存在だということなのであります。ちなみに、町会加入促進条例は複数会派の反対や慎重論にもかかわらず、保坂区長がこれを実施しようとしていることも見過ごしてはならない事態でしょう。
決算委員会で既に述べたように、世帯主加盟が大半で個々人の独立を前提とした民主主義の確立さえ保証していない町会加入促進を条例化することは憲法違反といわれても仕方がありません。
ところで、政治資金法によると、
政治資金パーティーは、原則として政治団体によって開催されるようにしなければならないとされています。政治団体が開催した場合には、その収支等については当該政治団体の収支報告書の中で報告します。
政治団体以外の者が特定パーティー(政治資金パーティーのうち、当該政治資金パーティーの対価に係る収入の金額が1,000万円以上であるもの)になると見込まれる政治資金パーティーを開催する場合には、当該政治団体以外の者は、当該政治資金パーティーについては、開催しようとする時から政治団体とみなされ、届出義務、会計帳簿への記帳義務、収支報告書の提出義務が課されます。
あれだけの各種団体の長を呼びかけ人に抱えたパーティーの収入が1,000万円以上になる可能性は否定できません。にもかかわらず、政治団体登録なしに、また、代表者も事務責任者も明示せずにこの会を主催する以上、呼びかけ人全員に責任が及ぶことは十分予想されることであり、この実務を司った者の企画の杜撰さが透けて見えるといわなければなりません。
連絡先は松原の保坂展人事務所内となっていますが、一体、この会の責任をだれが取ろうというのでしょう。聞かせてもらいたいものです。
ところで、問題はこれにとどまりません。
11月12日の「未来をひらく会」の案内系統はもう一種類あって、こちらの方は熊本前区長以下各種団体のお歴々の名前は記載されておらず、先に紹介した正式な案内状の末尾に掲載されていた菅原文太さん以下著名人のみの名前が筆頭に掲載され、末尾に「区内団体の方々」とのみ記載されています。
各種団体向けは「人の顔が見える災害に強い福祉文化都市」をキーワードにし、脱原発にも触れることのない簡便な案内ですが、市民向けバージョンでは「独自のスタイルで特定の企業・団体に依存することなく、全国の志にささえられてひた走ったこの間でした。」「日本が陥っている閉塞状況を打破し、民主主義をダイナミックに復権させる役割を担って」などの言葉とともに「脱原発とエネルギー転換」の文言も記載されているものです。またこちらの案内もクレジットは「未来をひらく会」でありながら、振込先だけは保坂展人と元気印の会となっており、15,000円の会費を会員に限り10,000円としています。
ところで、他会派の決算特別委員会での質問によれば、区の幹部職員は受付の際5,000円を払うことになっているのだとのことでした。また区議会議員にはパーティー券にご招待の朱印が押してあります。元気印の会や区職員へのダンピング、さらには招待券の発行は主催者の寄附行為を問われることになりかねません。
この文書の郵送には保坂展人氏本人の手書きコピーの手紙も添えて封入されています。
この手紙にはこう書いてあります。「これから残された任期まで一年半、息の長い地域行政の取り組みを続け、全国に発信できる質の濃い政策を、しがらみなく市民の立場から元気よく実現したいと思います」
二つの文書をつくって、ダブル基準で、文を右と左に分けるような、そういったことをやってはいけないと思います。
一番の本質は節操の問題です。選挙公約の原点に戻るべきです。二股膏薬をするくらいなら区長を辞めるべきです。
以上、平成24年度決算認定への意見とします。