「緑の党Greens Japan世田谷」平成25年度予算要望(その2) |
脱原発時代を切り拓く みどりの先進国を世田谷から
区民を放射能や有害物質から守り、
保坂区長は公約にたちかえって、大規模再開発の見直しを
(3つに分けた予算要望の、その2です。その1の末尾に23年度決算認定意見が掲載されています。なお、一括してご覧になりたい方は右をクリック<木下泰之の予算要望>)
3、平成25年度予算要望
上記平成23年度決算認定の意見を踏まえ、平成25年度予算要望について、以下に示す。
予算要望は昨年行ったものに、加筆した。新しい課題についてもいくつか示す。
1)放射線から区民を守ろう
3.11はパラダイム転換を求めている。私たちは未来に責任を持たなければならない。必要とされる政治の役割は原発や核を廃絶するとともに、あらゆる環境破壊から人類と地球を救い出すことである。区政として何よりも実行しなければならないのは、区民の生命と健康を守るために、正しく情報を収集、分析し、具体的な施策を講ずることである。
a.川場村移動教室は止め、他のより安全な地域での実施を
放射線とがんとの関係において「しきい値」はないのであるから、わざわざ、子供を放射線の高い場所につれていくことは避けるべきである。
「しきい値」はないということは認めながら、安全問題を相対論にすりかえ、精神問題にすりかえている保坂区長の論理は破綻している。よりリスクが低い地域から、より高い地域に行くことはリスクを高めることになり、このことを心配することは実態的な裏づけのあることであり、精神的なこととして片付けられるものではない。
川場村への移動教室はとりやめ、代替を考えるべきである。
川場村移動教室問題は教育問題そのものでもある。安全であるとの断定を押し付けると、真実を語るものが阻害され、安全神話を子供や父母に押し付けることになる。
安全性に論争がある以上、危険と考える考え方に理解を示し、川場移動教室はやめるべきなのである。
欠席者を欠席扱いとしないという客観的な事実を間違いなく伝えるためにはプリントを配ることが必須だが、これを頑なに拒む教育委員会の在り様は異常である。このようなことをつづけていると教育自体が崩壊する。
放射線量の高い日光での林間学校も代替地を考えるべき。歴史的な関係からいって、井伊藩の本拠地であった彦根市がよいと思われる。
b.放射線問題は外部被ばく内部被ばく双方を問題にしなければならない
内部被ばくを考えるときには、今回の原発事故で放出された放射線核種の分析は必須であるから、川場村での調査のみならず、世田谷区内においても、セシウムのみならず、プルトニウムやストロンチウム等の放射線核種調査や計測はおこなっておくべきである。
プルトニウムやストロンチウムについて、文部科学省は2012年8月にデータを示したが広範囲に広がる汚染について福島第一原発由来でない解説した。その根拠ははなはだ疑わしく区として精査をするべきだ。また、過去の疫学調査の見直しなどを行いつつ、放射能からの防御行政を住民を守る観点から抜本的に見直すべきだ。
c.世田谷区も放射能で汚染されている。基礎的な放射能測定を!
「区内管理施設に関する区民による高放射線量の通報」による区の確認作業の結果が区のホームページに公表されているが、平成24年1月27日の代沢小学校の雨どい最高値0.838を筆頭に各地に0.23μsv/hを超えるホットポイントが見つかっている。また市民団体の計測によると10月12日に民家の雨どいの堆積汚泥から16000Bq/kgが検出されている。
1年半たってもこのような状況でありながら、世田谷区は昨年10月に公園各地の空間線量をはかったに過ぎず、再三の申し入れにかかわらず、土壌調査を実行しようとしていない。
東京都の区内深沢の計測地点では3月15日に異常に高いストロンチウムが降下しているのが計測もされているのだから、セシウムはもとより放射線核種の土壌調査を実行するべきだし、高放射線量の計測は区内施設に限らず、民有地にも対応すべきである。
基礎的な計測を怠れば、区民の健康管理は出来ないし、今後の事故や異変にも対応できない。区内には農地もあるのだから、土壌の放射線核種分析は必須である。
d. 3.11による東京での大気浮遊粉塵吸入の内部被爆
東京都の産業労働局は、都立産業技術センターが行った2011年3月15日から9月末までの間の成人の大気浮遊粉塵の放射性物質の吸入摂取による実効線量を明らかにしているが、この調査によると、福島第一原発の事故のあった2011年3月の一ヶ月だけで3600ベクレルを吸入摂取していたという。東京に住む我々は既に被爆し、内部被爆被害も受けているのである。然るに、東京での放射能被害についての健康診断はほとんど行われてこなかった。内部被爆による影響については染色体検査などで分かるはずであるから、検査体制を整えるべきである。
e.福島原発危機は終っていないし、東京湾にも原子力発電施設はある
福島原発4号機の危険などの再度の事故の危機が去っていないことを忘れてはならない。政府は原発50キロ圏内に安定ヨウ素剤を配る方針を決めたが、決算特別委での私の質問に世田谷区は原発施設から50キロ圏内にはないとして安定ヨウ素剤の用意をする必要はないとしたが、対応が不十分。安定ヨウ素剤の常備体制を追及すべきだし、使用方法についても周知しておくべきだ。
原子力発電ということでは、横須賀は世界最大の原子力艦船の寄港地であり、巨大原子力空母ジョージ・ワシントン配備から4年、東京湾に停泊する原子力艦船には原子炉が積まれている。
f.食材検査の徹底を
子供は大人よりも放射線に敏感であるから、今回の原発事故に対しては、子供に対する放射線対策をなによりも優先して対策を取る必要がある。
保育園や学校での給食やおやつなど、食糧や飲み物の放射性物質調査は継続して行うべきだ。世田谷区の給食食材の検査方法は食材を一括して混ぜ合わせて計測する方法であるが、緊急対策ならば致し方ないとしても、何時までもこの方法のみに頼ることは安全性に気を遣っているとは言いがたい。食物連鎖が進んだり、河川や湾に放射能が蓄積し始めている現在、もっと詳細な安全対策が必要となっているので、実施するべきだ。
また、区民の不安にこたえるべく、不安のある食物や飲み物の検査ができる施設を設けるべきである。国から計測器が貸与されているが、さらに計測を充実するために必要な機器を購入すべきである。
生鮮3品や飲料の検査体制は地元の商店街が対応できるよう、機材の提供や検査の援助に力を尽くすべきだ。
g.女川災害瓦礫受け入れの中止を
保坂区長は女川瓦礫受け入れについて、問題が起こったら中止すると23区清掃事務組合に条件をつけていたはずだ。瓦礫焼却で世田谷工場にアスベスト1リッター当たり1.9本ものアスベストが検出された。一時間当たり3500万リットルだから、一日当たり15億9600万本(1.9本×3500万×24)のアスベストが排ガス中に出たに係わらず、これを止めて精査させることも、女川瓦礫の受入れを止めようとしていない。アスベストは放射能と同じく、しきい値なき発ガン物質であり、きわめて危険である。女川瓦礫の受入れをやめるべきである。
h.放射能核種及び有害物質の測定を
3・11以降は一般ごみの焼却でさえ放射能の濃縮がなされ、ましてや女川瓦礫には各種有害物質も含まれている。放射線核種分析も行い、清掃労働者の健康を守ることを含め、区民に健康被害が起きないよう、測定体制を強化するべきである。また、清掃労働者の健康を守ることを重視することは、区民への健康被害拡大を防ぐことにつながる。
2)住宅都市世田谷ならではの脱原発・代替エネルギー・自然系エネルギー政策確立のプロジェクトの開始を
太陽光発電等の代替エネルギー問題については、ソーラーパネルについて大量購入し低廉で売り出し購入を促す事業が進められているが、このような施策だけでは不十分。
区民から出資してもらい、事業を起こし、区民に還元していくようなシステムが必要だ。
スマートグリッドの導入などは法整備も必要だろうが、やれるところから実行に移していってもらいたい。
3)大震災への対応は区民の人命を守ることを優先して抜本的な見直しを
3・11大震災は多くの教訓を残した。震災対策と称するものが、再開発や道路整備や単なる箱物づくりであってはならない。人命を守ることの優先順位から震災対策への投資の優先順位を付けていかなければならない。道路を縦横に通し、車の利便性を上げ、街に車をあふれさせるよりも、軽自動車の消防自動車やスタンドパイプを増やしていく方が、即戦力になる。各々の家を堅牢にしていくために、補助金を支給することは、大規模再開発よりもすぐれている。
防災のための道路整備などハードを考えるに当たっては、本当の必要性を吟味するべきである。これまで、あまりにも、防災を理由とした道路整備が横行してきたからである。
都市計画の問題でいけば、都市を高層化・超高層化することの危険性に無頓着でありすぎたことも問題である。
また、防災については、個々の市民の防災技術や、サバイバルの知識といったソフト面を重視する必要もある。
(予算要望、その3に続く)