アベノミクス追随予算反対。川場移動教室は止め、連立事業等公共事業を見直せ 平成25年度一般予算反対討論 |
アベノミクス追随予算反対。川場移動教室は止め、連立事業等公共事業を見直せ
○畠山晋一 議長 次に、二十四番木下泰之議員。
〔二十四番木下泰之議員登壇〕
◆二十四番(木下泰之 議員) 平成二十五年度一般会計予算に反対の立場から、緑の党Greens Japan世田谷の討論を行います。
既に平成二十四年度の六次補正予算が平成二十五年度予算と連なった十五カ月予算として提出されたという事情から、この平成二十四年度六次補正の反対討論で、私は政府予算に反対する理由を述べました。
残念ながら、国の予算は、たった二年前の三・一一の震災、原発事故の国民的な経験に対応しようとさえいません。原発被災者支援法を国会の全会派で決めながら一切対応しようとしない一点をとっても、国民を捨て去った棄民予算というほかありません。そればかりか、原発のさらなる再稼働さえ言明しております。加えて言えば、コンクリートから人へとの提唱で政権についた民主党政権がついえたからといって、人からコンクリートへと揺り戻してよいわけはありませんと述べたわけであります。
その上で、政府予算に同調する区の予算のあり方に反対だということを表明いたしました。保坂区長、あなたは三・一一という歴史的事件がなかったならば、今の座にいなかったことを自覚しなければなりません。脱原発と公共事業の見直しを掲げて選挙戦を戦ったことを忘れてはなりません。そのあなたが、なぜ汚染状況重点調査地域と政府に認定された川場村に五千人を超える小学生を連れていく予算を組んでしまうのか、私には理解することができません。
この問題は、二〇一一年の六月議会のときからずっと申し上げてきたことでありますが、昨年秋には幾つかの学校では大量の欠席者が出るようになり、ある学校では四〇%もの生徒が欠席する事態にもなっているのであります。
放射能被害への心配について、まあ、大丈夫だろうと、あなたは議会でお答えになったことがあります。しかし、一方で、あなたは放射能と発がんとの関係において閾値はないともお答えになっている。論理破綻も甚だしいのであります。
政府の法的基準、一般公衆の年間の放射線被曝制限値一ミリシーベルト以下というのは、もともと核開発や原発推進の立場に立つ国際放射線防護委員会、ICRPが決めた数値であって、アルファ線核種やベータ線核種のみならず、ガンマ線核種の内部被曝リスクを考慮に入れておりません。一方、欧州放射線リスク委員会、ECRRは内部被曝リスクを考慮に入れて、一般公衆の年間被曝制限値を年間〇・一ミリシーベルト以下に抑えることを提唱し、専門家の間での論争になっているということを忘れてはなりません。
政府が定めた甘い基準さえも超え、汚染状況重点地域に指定されている川場村に、放射能への感受性の強い小学生を連れていってよいわけはありません。食品検査で川場村のツキノワグマの獣肉から二百三十ベクレル・パー・キログラムと、政府基準二・三倍も放射能汚染が検出されているのですから、川場村の森林汚染は甚だしいと評価せざるを得ません。保坂区長や教育委員会がリスク回避を実行しないことこそ不思議と言わざるを得ないのであります。
三・一一の教訓は、自然の営みに対し謙虚になるべきだということを含みます。その点から言えば、選挙戦で区長が掲げた公共事業の見直しは環境配慮に向け特段の意味を持たなければなりませんが、そうはなっておりません。
京王線高架計画は、東日本大震災での東北新幹線の高架橋の橋桁の崩壊という事態を前には、当然見直さなければなりません。昨年十月に高架都市計画決定は三・一一前から企画されていたもので、見直されるべき耐震強度を満たしているとは言いがたいものであります。現行制度の高架鉄道の環境側道は日照のみを考慮して、北側にしか側道を設けようとはしておりません。南側は隣地境界五十センチのところに民家が存在することになり、騒音問題もさることながら、地震での高架橋崩落や列車の脱線の危機にさらされることになります。強度の見直しや南側側道を考慮すれば建設費にはね返り、地下化代替案のほうがより経済的ということにもなります。また、もともと地下化構造物のほうが地震には強いのであります。また、地下化にすれば上部を避難路として使うことができるのは、下北沢の連立事業で証明済みではないでしょうか。
したがって、三・一一を境に京王線の連立事業は見直しを検討することは理にかなったことではないでしょうか。しかしながら、区長はそのような努力さえしなかったばかりか、設計思想の断絶を見なければいけない歴史的なそのときに、官僚機構の継続性のみをイの一番に主張し、京王線連立事業の見直しを願い、あなたを区長に担いでともに戦った人々の思いに背を向けたのであります。あなたは、連立事業調査報告書の構造比較の基本情報開示さえ東京都から明らかにされていなくても、高架を前提とした側道や駅前広場の都市計画をみずから平然と都市計画決定してしまいました。このことが地方分権をいかに踏みにじる行為であるか、おわかりになっているのだろうかと疑問に思うわけであります。
下北沢地域の小田急線連立事業についても言わなければなりません。この間の議会質疑を通じて、保坂区長の公共事業に対する対応にはびっくりさせられたということを申し上げておかなければなりません。問題の対象の構造や本質を捉えようとしていないことがわかってしまったからであります。「闘う区長」という新書の記述に誤りがあるということを私は指摘いたしました。区長はこれを認め、訂正文をネット上で公開しております。
連立事業の鉄道構造が高架の場合は、事業費の鉄道側の負担金は一五%、もっと正しく言えば、事業認可時の要綱では一四%だが、地下化の場合は協議で決めることになっております。あなたはこのことを知らなかった。間違いにも気づかなかった。しかし、このことは致命的です。下北沢の問題は、難しい五四号線問題や駅前ロータリーの問題を後回しにして、比較的合意の得やすい上部利用の問題から始めると、あなたは言ったのではなかったのでしょうか。ところが、あなたは連立事業費六百六十五億円のうち小田急電鉄が五十億円しか払っていないという事実を頭にも入れないで、上部利用についての見直し問題に取り組んでいたことになるわけです。五十億円は受益者負担金として計算されているわけでありますから、上部利用について交渉しようとするならば、その受益便益の計算の詳細を知らなければ有利な交渉事はできないはずであります。
ところで、下北沢の事業は地下化が一見完成したかのように宣伝されておりますが、二線二層の地下化が完成するのには上部二線一層の地下鉄がおくれていて、あと五年はかかり、連立事業費も七百九十四億円に膨れ上がっている。にもかかわらず、受益者負担金は五十億円であることには変わらない。七百九十四億円の高架事業であれば、その電鉄側負担金一五%は百十九億円、一四%で百十一億円だが、下北沢事業での交渉の結果、五十億円しか払わないとすれば、電鉄側負担金をたった六・三%で済ましてしまうことになるわけです。その余は行政側が負担するわけだから、上部利用の公共権益は拡大すべきなのであります。また、事実を情報開示した上で市民参加で議論すべきであり、そうしてこそ、本物の市民参加になるはずです。
ちなみに、今定例会で明らかになった重要なことがあります。世田谷区では庁議さえ議事録をとっておらず、公開されていないことがわかりました。この前近代性を即刻改めるべきであります。情報公開が最も安上がりな改革と言ったのは、ほかならぬ保坂区長なのです。
二子玉川超高層再開発について触れておきます。二子玉川では、一期工事後、ビル風による突風が吹くようになり、周辺住民からその解決が強く求められております。一期、二期あわせて行われる前提で、ミニチュアモデルによる風洞実験によって風のアセスは行われましたが、影響なしとされていました。ところが、実際には事業は一期、二期と分かれ、事業組合も別々になった。一期の超高層が立ち上がった段階で予想もされない突風が出現したわけでありますから、一期事業の風対策を検証すると同時に、二期事業のアセスをやり直してからでなくては二期工事に進んではいけないというのが道理というものではないでしょうか。ところが、保坂区長は、専門家会議は立ち上げたものの、一時なりとも事業をとめようとはしていないのであります。
具体的な例を幾つか挙げました。外環を含む都市計画道路見直し問題、明大グラウンドや周辺の用途緩和問題、重層長屋問題など言いたいことはたくさんありますが、時間制限もあることですので、以上申し上げて、一般会計に反対する討論といたします。
○畠山晋一 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。