新年集会で小田急騒音訴訟の勝利を展望 |
新年集会で小田急騒音訴訟の勝利を展望
世田谷区内の小田急線訴訟や下北沢道路訴訟、杉並の三井グランド訴訟や等、都内の行政訴訟に取り組む諸団体で構成されている東京環境行政訴訟協議会主催の新年集会が1月13日午後6時より、北沢タウンホールの会議室で開催された。木下も一連の訴訟や運動に協力してきたことから、参加した。
この日の主要テーマは小田急騒音損害賠償請求訴訟についての報告。同訴訟は小田急電鉄を相手にした損害賠償訴訟だが、小田急高架連立事業の都市計画事業認可取り消し訴訟から派生した訴訟でもあり、また、国の在来線騒音の基準づくりに係る訴訟でもあることから、同原告団と緊密な連携のもと協議会としても重要訴訟として位置付け取り組んできた訴訟だ。
小田急騒音訴訟は2010年8月に東京地裁判決があり日平均で夜間60㏈昼間65㏈を超える騒音に賠償命令を下した。原告としては夜間50㏈昼間60㏈を求めてきたことや保証額が1か月3000円と極めて低額であること等、原告側としても不服はあるものの、測定地点を居住空間の窓の外に置き、高層階での測定を認めたこと等は画期的であった。
集会では、担当弁護士より、10月の高裁裁判で結審を前に裁判長から和解協議の提案があったが、被告の小田急電鉄側弁護団は全国の鉄道各社が反対をしているとの理由をあからさまに述べて和解に難色を示し、最高裁まで訴訟を持ち込む方向性を示したこと。12月の裁判進行協議では裁判長が和解協議に応じるよう被告側を強くけん制したこと。原告側としては1審の勝訴の成果を守ることを条件に和解協議に応ずる姿勢を示したこと。1月24日には第2回裁判進行協議が行われることが報告された。
また、各種裁判での弁護団長を務め、騒音訴訟でも弁護団長の斉藤驍弁護士より、エコや環境を企業が売り物にする一方で、311以降の原発災害ですら容認する日本のあり様は、古典的公害である騒音問題についてさえ、在来線騒音に環境基準をつくろうともしない政府の姿勢に象徴されており、この古典的課題の決着を追求していくことは政府に放射能対策に厳しい基準をつくらせ原発を廃絶していく課題とも直結している。反原発・原発ゼロが都知事選の大きな課題となり、新しい状況が生まれようとしている。この状況を生かし、環境問題の新たな一歩を築けるように今年は是非していこう、との趣旨の発言があった。
小田急騒音訴訟の結果が定まれば、政府は在来線騒音基準を策定せざるを得ない立場に立たされることになる。その意味で小田急騒音訴訟の行方は全国の騒音問題ひいては放射線を含めての環境基準問題に与える影響は大きい。この大きな課題を担ってきた市民運動と弁護団の活動にぜひ注目いただきたい。