樹齢400年の保存樹木・けやき、無届け伐採を認めた区の責任を問う |
樹齢400年の保存樹木・けやき、無届け伐採を認めた区の責任を問う
木下委員 今日は無党派・緑に一番相応しい質問をします。先ほど防災問題ありましたけど、空襲の時に焼夷弾から民家を守ったというけやきの木があります。これは等々力7丁目のけやきなんですが、これが伐採されてしまいました。1月の10日に樹齢400年と言われる等々力7丁目の大けやきが保存解除の手続きも経ないまま刈り取られ倒されました。世田谷区の保存樹木制度が形骸化しているということが、非常にこれで分かってしまいました。大けやきが伐採されそうだと私のところに連絡を受けたのが1月の8日の夕刻、現場に私は急行し隣家住人から保坂区長宛て保全申し立ての要請書を預かり、翌朝区長室に届けました。しかし1月の10日に伐採されてしまいました。1月10日朝、隣家より伐採が始まったと連絡を受け、区担当、および区長室に条例違反の伐採が行われるとしていると連絡し、現場に私は急行しました。区担当者がやってきたのは伐採の半ばの午後一時過ぎでした。伐採された二本の大けやきは駐車場にありましたが、開発計画や相続があったわけではありません。所有者が近隣への迷惑を気に病んで切る決断をしてしまったわけです。区担当への事前相談があったといいます。区の緑基本条例には保存樹木制度があり、伐採には届け出が必要です。手続き無しに伐採が着手されてしまったわけですけども、即刻中止させ、届け出をさせればいろんな人達の要請や勧告条項も条例にあります。庁議にでもかけて説得のため財政手当もできた筈です。しかし担当は手続き無しに伐採を通告しても伐採を停めようともしなかったわけであります。どうしてこのようなことになったのか説明してください。
委員長 直井緑政策課長
直井緑政策課長 はい、等々力7丁目の保存樹木につきましては、昭和53年3月に指定された保存樹木でございます。複数指定されたうち残された二本がこの1月10日に伐採されたというものでございます。この件につきましてが昨年の12月の20日に所有者側から保存樹木のけやき二本を伐採するということで手続きをしたいという連絡があり、区としてこの現場の状況、それから過去の事故の状況、それから所有者の意向の確認が必要ということで、所有者と連絡を取ったということです。所有者とは1月6日に来庁していただいて、お話しあいをしたということでございます。このけやきの木につきましては、枝折れによる最近の事故が多発しているということを鑑み、今後の管理に不安があるということで、伐採せざるを得ないという所有者の意向を確認したということでございます。我々も現地を見て。かなり大きな立派な樹木ではございましたが、樹幹のすぐ下に隣地の住宅があるという状況でございまして、この3年間で三件ほど枝折れによる事故というものがあり、他の事例に較べてもかなり多い状況があります。また所有者も
木下委員 手短にしてください。
直井緑政策課長 ので、ま、やむを得ないということで1月6日の時点で伐採やむなしという判断をしたということです。
委員長 木下委員
木下委員 条例上はですね、届け出をしなければ伐採をできないんですよ。それを怠ったばかりではなく隣家からですね伐採されそうだって要請があって、私はすぐ駆けつけましたよ。しかしね、担当来てないんですよ。ね、区長室にも連絡したにも(関わらず)誰も来てないんですよ。これは条例上はね、届け出を出して初めて要請をしたり勧告をしたりすることができるわけですよ。それから逸脱してるじゃないですか。あの、区民にはこれは罰則規定は無いですよ。しかしね、公務員には法の遵守義務がありますよ。ね、だから、公務員はペナルティを受けるべきことなんじゃないですか。何も責任感じないんですか、このことについて。
委員長 直井緑政策課長
直井緑政策課長 まぁ立派な保存樹木が伐採された。これは非常に残念なことだと思っています。ただし伐採届けを出してないということで、伐採を止めるのは難しいということです。要は所有者の意向が堅いということで、最終的には伐採の権限は所有者にあるというふうに考えております。以上です。
委員長 木下委員
木下委員 これは条例上、全くの逸脱ですよ。つまり届け出をしてから、いろんなことができることになっているわけですよ。要請もできれば勧告もできることになっているわけですよ。ね、それから財政出動だってできるわけですよ。これ予算の範囲にするとしか書いてないから、ね、本当に大事なことはいろんな手当ができるんじゃないですか? その検討を近隣から要請があって、届け出がされてないってことだったら、まずは伐採をとめることが可能なんじゃないですか? 届け出無しに、いつ届け出されたんですか? 事後的でしょうそれは。
委員長 直井緑政策課長
直井緑政策課長 伐採届けの届け出は1月10日に受理しております。以上です。
委員長 木下委員
木下委員 届けの書式があって位置を示したり絵を示したりね、いろんなこと書かなきゃいけないんですよ。それはいつしたんですか?
委員長 直井緑政策課長
直井緑政策課長 今もうした通り1月10日ということで。
委員長 木下委員
木下委員 伐採が始まったのは午前中ですよ。あなた方が来たのは午後一時すぎだよ。ね、その後でしょう。伐採が済んでから、半ば済んでからね届け出が出たってことなんじゃないですか? どうなんですか?
委員長 直井緑政策課長
直井緑政策課長 伐採については昨年の12月からですね所有者と話して
委員長 木下委員
直井緑政策課長 実際届け出たのが1月10日ということです、以上です。
木下委員 委員長
委員長 木下委員
木下委員 実際も何も、条例からの逸脱じゃないですか。届け出が先ですよ、これは。ね、だから、まさに公務員の法令順守義務に違反していると思いませんか。謝りもしない。そんなことがあっていいんですか? 罰則は無いよ区民には。だけど法令遵守義務違反であなたはね、罰を受けなきゃいけないんだよ本当は。そういうことについて世田谷区は非常に甘過ぎるよ。それは。どうなんですか?
委員長 直井緑政策課長
直井緑政策課長 伐採届けの提出は伐採を行うための要件ではないため、行使の延期等を求めることはできません。しかしながら条例に定められたルールということでございますので、今後はですね所有者との連絡をさらに密に取って、事前に制止されるように徹底してまいりたいと考えております。以上です。
委員長 木下委員
木下委員 世田谷区は本当にリーガル・マインドが無さ過ぎますよ。届け出がないうちに伐採したら違法なことをやっていることになるんですよ。公務員は法令遵守義務違反をしたということになるんですよ。そのことを徹底しなければ画に描いた餅ですよ。保存樹木、緑33、そういうことを言いながらどんどんどん伐採していくのを認めてしまっている。これが世田谷区区政の実態ですよ。無党派・緑としては、決してこういうことを認めるわけにはいかない。緑を回復させること無くしては、世田谷を災害から守ることさえできない。そのことを申し上げて終わります。
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【解説】今回の質疑を通じて明らかになったことは、区は保存樹木所有者に事前に伐採届けを出させる義務を怠ったばかりか、無届けで伐採してしまうことを誘導したとさえ推認できるということである。届け出が出されれば、区長が財政的援助も含め保存に向けての対応を検討することもできたはずだし、、要請や勧告を行うことができる。以下に「世田谷区みどりの基本条例」と施行規則の該当部分を抜書きしておく。
世田谷区みどりの基本条例
(基本理念)
第3条 みどりは、すべての人のかけがえのない財産であり、区、区民及び事業者の総意により、その保全及び創出を図らなければならない。
第12条 保存樹木の所有者等は、次の各号のいずれかに該当するときは、速やかに区長にその旨を届け出なければならない。
⑴ 保存樹木が滅失し、又は枯死したとき。
⑵ 前号に掲げる場合のほか、保存樹木に異変があったとき。
2 保存樹木の所有者等は、当該保存樹木を伐採し、又は移植しようとするときは、あらかじめ区長にその旨を届け出なければならない。
4 区長は、前2項の規定による届出があった場合において、必要があると認めるときは、当該届出をした者に対し、当該保存樹木等の保全を図るため、必要な措置をとるよう要請することができる。
(支援)
第34条 区長は、みどりの保全及び創出を図るため、必要があると認めるときは、区民等に対し、財政的支援その他必要な支援を行うことができる。
(勧告)
第36条 区長は、第12条第2項及び第3項並びに第26条第1項の規定による届出を行わずにそれぞれ第12条第2項及び第3項並びに第26条第1項の規定に該当する行為をした者に対し、当該届出を行うよう勧告すること
ができる。
2 区長は、第12条第2項及び第3項の規定による届出をした者が同条第4項の規定による要請の全部若しくは一部を受け入れないとき、又は第26条第1項の規定による届出をした者が同条第2項の規定による要請の全部若しくは一部を受け入れないとき、当該要請を受け入れるよう勧告することができる
施行規則
(保存樹木等の伐採等の届出)
第8条 条例第12条第1項から第3項までの規定による届出をしようとする者は、保存樹木・保存樹
林地伐採等届(第4号様式) を区長に提出しなければならない。
2 前項の保存樹木・保存樹林地伐採等届には、位置図及びその周囲の状況を明らかにする図面等を添
付しなければならない。