「がん対策推進条例」案への本会議質疑 |
「がん対策推進条例」案への本会議質疑
――放射能を含む環境がんへの考慮が一切ないのはなぜか
木下議員
上程されました、がん対策推進条例の問題点は、原発問題が抜け落ちていること。また、がんの原因について煙草と生活習慣、ウィルスのみに特化されていて、環境がんや職業がんなど、とりわけ放射線の影響の観点が全く抜け落ちているというふうに私は考えます。
環境がん職業がんということでアスベスト被害は深刻です。建設労働者にはとりわけ注意が必要ですし、アスベストが清掃工場から大量に降ったということも記憶に新しいことであります。NOxなどの大気汚染や肺がんを増やしている大きな原因だということも忘れてはなりません。また六価クロムをはじめとした化学物質は古典的ながん源物質です。がんの研究も環境がん職業がんの研究から始まりました。条例全てを読んでも環境がん職業がんについて一切触れられてないばかりか原発や放射線という言葉さえ出てまいりません。
保坂区長は脱原発を旗印として掲げている筈なのにご自身の作るがん対策推進条例に放射線の内部被曝外部被曝も原発も核も、X線、さらには六価クロムやアスベスト、NOxにも触れられていないのはなぜでしょうか?
触れられていないというよりも、この条例はまったくそういうことに関心がない。なぜですかお答えください。
脱原発は保坂区長の原点だった筈であります。がん対策推進条例に原発や放射線の内部被曝外部被曝についていっさい考慮が無いのはおかしいと言わなければなりません。なぜ一切触れないんですか。保坂区長お答えください。
新宿百人町の都の放射能計測で今年9月にセシウムを計測したところ、セシウム137だけで平米あたり9500ベクレル、キロあたり450ベクレルで2011年9月の計測でも値が高くなっております。世田谷区は同等かこれ以上でしょう。がん対策条例を作る機会にプルトニウムやストロンチウム全て放射能核種の土壌調査をおやりになることを提案しますが、やるつもりがあるのかどうかをお聞きします。
セシウム、失礼、先ほどストロンチウムについて来ていないと一般質問の後で答弁されましたけれど、調べればすぐ分かることだと思います。あれは間違いですね?そのことについて確認ですので、お答えください。
成田世田谷保健所長
木下議員にお答えをいたします。我が国では急速な少子高齢化や社会構造の変化が進む中、偏りのある食生活や運動不足、過労などによる生活習慣上の問題や働く環境の変化などに起因する心の問題が生じる等、健康を取り巻く環境は厳しさを増しております。その中にあってがんは世田谷区民の死亡原因の一位であり、生涯のうちに二人に一人ががんに罹患し、3人に一人ががんで亡くなっており、がん対策は重要な課題でございます。
このような現状下にあり区はこれまで健康世田谷プランにおいてがん対策を重点施策に掲げ、がん検診の受診率向上やがん相談窓口の開設など、がん対策の推進に取り組んでまいりました。さらに今般区の責務や、区民、保健医療福祉関係者、治療者の役割を明確にし、さらなる受診率の向上や検診体勢の整備を推進すると共に在宅療養支援にも取り組み、がんになっても安心して自分らしく暮らせる社会の実現を目指すため、がん対策推進条例を上程いたしました。がんはさまざまなな要因により発症し、急性の放射線の大量被曝やアスベストが健康障害を及ぼすことは承知しております。
区ではホームページなどを通じて放射線やアスベストに関する情報提供を行っておりまして、その中で健康被害についても周知を図っているところであり、今後も最新の情報提供に努めてまいります。
国立がん研究センターによる科学的根拠に基づく発がん性がん予防効果の評価とがん予防のガイドライン程度に関する研究の報告によりますと、日本人のがん死亡に対する要因として、最も高いとされているのが喫煙でございまして、その寄与割合は23.2%、その次が感染性要因で21.7%であり、飲酒6.2%、塩分摂取1.4%と続いております。
今回提案させていただきました世田谷区がん対策推進条例は、がん対策に関する基本的な事項を定め、この条例の理念に基づいて施策を推進していくこととしておりまして、今回条例案の検討にあたりましては、様々な環境要因についても議論をいたしましたが、条文としてまとめるにあたって第7条に喫煙、食生活、運動、その他の生活習慣、ウィルスの感染等とその代表的な要因をお示したものであり、環境要因を含まないというものではございません。
条例制定を契機として、区民意識の醸成をはかり、がん予防等についての正しい知識の普及や健康的な職場環境の整備に向けた啓発に取り組んでまいりますので、ご理解いただければと存じます。
次に土壌中の放射性物質調査でございますが、先ほどの木下議員のご質問に対し、環境総合対策室長が答弁でも申し上げました通り、平成24年度に文部科学省が調査を実施しており、プルトニウムは原発周辺を除いた100キロメートル以内によって事故前の観測値の範囲内であり、ストロンチウムについては原発から80キロメートル圏外では事故由来のものは確認されておりません。
またセシウムにつきましては地表面への沈着の状況を確認するため、国が平成23、24年度にかけ、東北から関東地方について航空機によるモニタリング調査を実施しております。その結果世田谷区内は9段階評価の中で最も低いレベルとなっております。
合わせて区が若林公園において測定しております空間放射線量についても、現在の値は原発事故以前から東京都が測定してきた値の範囲内となっております。こうしたことから区として土壌中の放射性物質検査は予定してございません。今後も空間放射線量の測定を継続し、放射性物質の安全確認に努めてまいります。
以上でございます。
木下議員
いいですか、平成23年のですね11月3日に、これは朝日新聞がまず書きました。それから12月の26日に読売新聞が書きました。東京都の駒沢公園にある計測地点でですね、ちゃんと降っているってことが分かって、それにストロンチウム89も出ている。それから翌年の平成24年の7月24日。文科省の報告書の中に10都県でですね、出てると。ちゃんと出てるんですよ。そんなのすぐ調べれば分かる。それはもう一回答えてくださいよ。
それから、とにかくね、戦後がんが増えているってのは、当然分かっていることです。私は80年代の時にはまだ3人にひとりだったわけですよ。それが今はもっと増えているわけです。当時はね煙草もっと吸ってましたよ。煙草をやめた人最近多いけれどもどんんどん増えている。それから放射性物質とか核実験であるとか、化学物質であるとか、そういうことを考慮しなければ減らすことはできないわけですよ。
そういったことでキチッとやるべきだということを言っているわけです。区長これは非常に大事ながん対策に放射線問題を入れないというのは問題ですよ。だけど先ほどは書いてないけど含めると言ったので、これはちゃんと放射線の問題とかそういったものに考慮してキチッとやるってことを約束してください。
そうしないとね、世田谷区民の健康を守れませんよ。それから先ほど泥遊びについてどうなんだ聞いたけれど大丈夫だというようなことを言ったけれども、泥遊びっていうのは埃を吸ったら内部被曝になる可能性あるんですよ。
それから安全だと言ったけれども安全だというその安全の根拠を示して欲しい。それはどっかの国の機関であったり、群馬県のなんとか大学であったりそういったところが言っていることを鵜呑みにしているに過ぎない。世田谷区でちゃんと調査もやってないんだ。そういうことをやるってことを、ちゃんと条例を作る機会にやるってことを、ぜひ約束してくださいよ。
保坂区長
制限時間内にすべてをお答えできません。まず一番はじめにですね、このがん対策条例について放射線であるとかアスベストであるとか、あるいは環境因子にセンシティヴであるべきだという議員の問題意識は共有するところであります。質疑の答弁でそのことを確認していただき、今後区の政策の中でがん対策において、そこの部分をしっかり啓蒙していくってことはお約束したいと思います。
以上です。
木下議員 いずれにせよですね、凄く大事な問題です。特に放射能が降ってないなんてウソですからね。降ってますよ。ストロンチウムもね。これちゃんと確認してくださいよ。
チャイム
議長 以上で木下泰之議員の質疑は終わりました。