地下化した鉄道跡地に高架構造物はいらない!・・・保坂区長に公開質問状を提出したしました。 |
<黒木実氏の平面緑化駐輪場の代替案図を添付しました。>
3月6日に区長室へ共同代表3名で赴き、区長室長に内容を説明の上、保坂区長宛ての公開質問状を提出いたしました。
2018年3月6日
世田谷区長 保坂展人 様
区長とシモキタ開発見直しを協働する市民の会
共同代表 木下泰之 小林千香子 橋本由紀子
155-0033 世田谷区代田4-24-17
ガーデンハウス羽根木公園103号
下北沢駅西側エリアの立体緑地(立体回廊)についての公開質問状
私たちは、2006年より下北沢地区の小田急線線増連続立体交差事業の無効確認と関連する補助54号線区画街路10号線の事業認可取り消しの訴訟を起こし、その後も追加訴訟を起こしてきた原告団とその母体であった「まもれシモキタ!行政訴訟の会」を承継する「区長とシモキタ開発見直しを協働する市民の会」です。2016年12月4日に準備会を発足させ、2017年12月16日に正式発足いたしました。
既に、準備会としては世田谷区長に対して要望活動を行い2017年8月29日には区長との面談も行ってまいりました。当会の設立経緯と趣旨については別紙「結成宣言」にある通りです。
10年にわたり住民が争った行政訴訟は裁判所の「自治の担い手である住民と行政の協働を形成することにより、下北沢の魅力を更に発展させていくことが大切である」との和解勧告を受けいれ、2016年3月30日の公開法廷で被告東京都参加人の世田谷区と原告が双方意思表明し、これをもって原告が裁判を取り下げ、4月2日までに東京都と国がこれに同意することで成立しました。
さて、下北沢地区の小田急線線増連立事業は複々線事業が完了し、本年3月3日には開通式が開催されました。今後は上部利用や駅周辺の再開発事業の実施が本格化することになる状況です。
事業が進捗する中で、昨年9月には「立体緑地の設計内容等について報告会」が実施され、来る3月8日にも「下北沢駅西側エリア公共施設設計内容等報告会」が開催されることになっています。
立体緑地(立体回廊)については、種々の会合で参加する区民から疑問の声が呈せられてきましたし、私どもも、緑は地上に配置すべきだと意見を表明してきました。
とりわけ、去る2月18日に開催された「北沢PR戦略会議」の2017年度報告会では、この立体緑地(立体回廊)につき、「シモキタの新たな公共空間を再考する部会」の世話人(当会の木下共同代表)や「シモキタ緑部会」の柏世話人から疑問の声が大きく上がり、黒木実氏が提案した平面代替案も紹介配布されました。これに呼応するように、沿線のマンションの住人からも、「既存構造物を利用したニューヨークのハイラインを世田谷区は摸して提案しているようだが、既存鉄道が地下化したのだから、平面に緑道を創るべきだし、周辺住民としては住環境を守るためにも高架構造物については反対だ」との声が上がりました。
また、「『立体緑道はグリーンラインが言い出したことだと』の誤解が広まっているが、駐輪場の立体緑化は提案したが、現行計画案のような回廊のハイライン案を提案をしたことはないとの発言が「NPO法人グリーンライン」メンバーからもありました。
立体緑地(立体回廊)の取り扱いについては、上部利用問題の全体をも規定する基本的な事項であり、また喫緊の課題でもありますので、以下の公開質問にお答えいただくようお願いいたします。
記
立体緑地(立体回廊)を取り止める緑の駐輪場の代替案について
立体緑地(立体回廊)につき、これを設置しないで平面に緑を配置する代替案が、別紙の通り一級建築士の黒木実氏から去る2月14日付で区長宛てに提案された。
世田谷区が15億円もの財政出動を予定した以上、その代わりに一定の財政出動前提に小田急電鉄と話し合って、地上の緑整備を伴う緑地公園的駐輪場にするべきだとの提案である。区の必要とする駐車場台数を充当もできる平面利用の具体的代替案として、私たちは基本的にこの提案を支持する。
駐輪場の仕様についての同様の提案は「北沢PR戦略会議・緑部会」やNPO法人「グリーンライン」からも提案されているが、その対応も含めていかが考えるか明らかにされたい。
2、立体緑地(立体回廊)計画の経緯について
①連続立体交差事業で出来た新たな空間において、だれの発案でこのようなものが計画されたのか、経緯の詳細について明らかにされたい。
②下北沢地区の小田急線連続立体交差事業においては、当初計画では立体緑地についてはなかったが、途中から変更し導入が予定された。上部利用計画の変更が可能で あった証左である。したがって、再変更も可能であると考えるがいかがか。
③立体緑地(立体回廊)の導入を決めた権限は誰にあるのか、またその変更についてはどのような手続きが必要なのか明らかにされたい。
3、立体緑地(立体回廊)の現行計画について
当初、立体緑地は鎌倉通り西の駐車場までとされておりその予算は15億円とされていたが、その後、当面は小緑地公園までへと変更されたと聞く。
①鎌倉通以西の計画はまだ生きているのか否かを伺う。また、計画が生きているとしたらその計画は何によって担保されているのかを明らかにされたい。
②変更後の当面整備の部分の予算はいくらか、残された立体緑地を整備するとしたら予算はどう見積もっているのか伺う。
4、世田谷区委託調査の立体緑地(立体回廊)への否定的見解について
世田谷区は2013年8月23日付けで「下北沢~世田谷代田駅間の上部利用に伴う鉄道構造物の概略照査等業務委託」を皮切りに、その設計やその他の上部利用の設計と市民参加業務まで含む業務委託をパシフィックコンサルタンツに行っている。
2016年3月の同社の「下北沢駅西側小田急線上部利用施設基本計画及び住民参加検討会議運営委託」報告書の3/3では、
「駅に向かうアクセスとしての使い勝手は悪い。」
「現況の周辺街路を利用した方が駅への到達距離が短いエリアが大勢を占める。また、改札口が1階地上レベルのみに設置されるため、立体デッキにショートカット導線としての役割は期待できない。」
「通学通勤での駐輪場利用者は、立体デッキを通過せず地上のみを利用することが想定される」
「地形的に見ても、計画地を経由するには、いったん谷筋に入ってから再度駅に向かって上がる形となる。更に小田急線利用者は、駅で再び地下に潜ることになるため、『遠回り』の感は否めない」
と通常通勤通学への利用についての導線評価は否定的である。区からの委託調査である性格上「したがって目的をもった機能導線としてよりも、むしろ計画地で過ごすことを楽しむ空間として、周辺の水と緑や歴史的文化資源とのネットワーク形成も含めた『線的』な公園としての役割が期待される」としているが、委託された調査報告書としては、異例の否定的見解が示されているのである。
2016年3月といえば原告団と世田谷区との間で和解が成立することになった時期であり、その後、同年6月4日には「北沢デザイン会議」が開催されているが、この調査報告書は公開もされず、この導線機能としての否定的見解については区民に伝えられてもいない。
①和解当事者である住民原告から、この立体緑地(立体回廊)についての基礎情報の提出が求められていたにもかかわらず、2017年10月に住民原告側から情報開示請求 がなされるまで、この「報告書」を伏せていたのはなぜか。明らかにされたい。
②「自治の担い手である住民と行政の協働の形成」には少なくとも、基本資料の速やかな提供は不可欠であると考える。情報隠しのような対応は改めていただきたいが、今後の対応を伺う。
③同報告書による通勤通学や周辺住民の利用導線についての否定的見解について、世田谷区としてはどのような見解をお持ちか明らかにされたい。
④世田谷区は立体緑地(立体回廊)につき、CGを利用した完成予想図の映像を公開してきた。このCGによると立体緑地(立体回廊)を支える基礎が1本足となっており、また地上から見た回廊は地上を歩くものから見て圧迫感がないかのように描かれているが、2017年9月の説明会で明らかにした設計では両サイドに橋脚を設える設計になっており、地上からみて圧迫感は否めない。立体緑地(立体回廊)の強度からいって一本足は当初から無理であったはずであり、区は立体緑地についてのイメージ操作を行ってきたと云わざるを得ないと考えるが、この経緯についての見解を明らかにされたい。
5、下北沢地区の「連続立体交差事業協議会」について
①連続立体交差事業においては「連続立体交差事業協議会」を結成して事業を行うことになっているが、これはどのような法令や規則に基づいて律せられているのか明らかにされたい。
②下北沢地区の小田急線連続立体交差事業協議会は、いつ結成されたのか。また、いつまで存続するのか明らかにされたい。
③同協議会には東京都、世田谷区、渋谷区、小田急電鉄、京王電鉄が参加しているが、協議会及びその長の権限、および構成体それぞれの権限について明らかにされたい。
④協議会と経堂地区や喜多見地区の連続立体交差事業協議会との関係を明らかにされたい。
6、下北沢地区の立体緑地(立体回廊)の進捗状況、連立事業の総予算の増額について
①立体緑地(立体回廊)の予算と執行状況について明らかにされたい。
②2017年5月に開催された下北沢地区の「小田急線連続立体交差事業協議会」に報告された小田急線連続立体交差事業の総事業費は1662億円と聞く。当初計画は1400億円であったが、既に262億円の増額となっている。その内訳と増額の経緯・理由を明らかにされたい。また、増額中に立体緑地(立体回廊)関連の増額は含まれているのか否かを伺う。
③立体緑地(立体回廊)の代替案を考える際に、京王電鉄京王井の頭線の改良事業で出来た新たな空間も考慮する必要があるが、同事業についての予算の内訳について明らかにされたい。総事業費著小田急線連立事業として扱われている事業費を明らかにされたい。
以上
<別紙>(黒木実氏の2月14日付けの区長宛ての代替案の手紙を添付しました。また「市民の会」の「結成宣言」も添付させていただきました。)
世田谷区長 保坂展人殿
謹啓
寒さ厳しい折、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は、諸活動へのご理解、ご支援を賜り誠にありがとうございます。
さて、現在進められている、世田谷代田駅、下北沢駅間の一部分に考えられている、約120mの長さの立体緑道が駐輪場(700台)の必要性から考えられたと聞き及んでいます。
別紙のように、地下化によってできた地上部に駐輪場(約770台)と4m道路、および遊歩道をみどりを絡めながら計画することが可能ではないかと考えます。立体緑道は当初の投資だけでなく、将来にわたって、維持管理等の費用が掛かります。税金の無駄遣いという観点からも、地上部の整備に、立体緑道に投じる15億円の税金の一部を振り向けることで、周辺住民にも優しい、下北沢らしい緑豊かな駐輪場と遊歩道を整備することができます。
是非、「屋上屋を架す」ような計画を取りやめ、地上部に新たな計画を考えるように再考していただきたいとお願い申し上げます。
謹白