Private Attorney General=私的法務総裁 |
10月26日に開催された小田急訴訟大法廷弁論は満場の傍聴者の見つめる中、住民側弁護団の7名が堂々の論陣を張りました。
この弁論で、特に心に残った言葉は、斉藤驍弁護団長が陳述の中で強調したPrivate Attorney Generalという言葉です。
「原告適格論は究極的には裁判のあり方、権力の分立、国民主権という民主制社会の基本的原点を問うものである。たんなる国民の「権利の救済」や「使い勝手」の問題ではない。」
「本件のような巨大公共事業による被害者は、その訴えを起こす直接のきっかけは私的な被害の救済を求めることから始まるけれども、自らの被害を防止し、あるいは回復するために、その公共事業をただすことを求めて裁判を起こすことができ、さらにしかるべき裁判を受けることができ、かつ裁判官の聡明な認識と理解をうけ、裁判に勝利することができるならば、それは本人の意思いかんにかかわらず、同様の他の被害者の利益を守るだけではなく、公共事業をただすという、まさに公共の利益、すなわち公益を実現することになる。」
「アメリカ合衆国連邦最高裁判所の裁判官として極めて著名なジエローム・フランクやバーガーは、このような人物を"Private Attorney General"『私的法務総裁』)とし、これが社会進歩の原動力のひとつであると指摘している。」
しかしながら、ここで注目しておかなければならないのは、Private Attorney Generalは少数者であるということでしょう。
さらに、弁護団長の陳述は本質をズバリと突きました。
「少数意見にこそ理性が存在し、正義が表現されることが多々ある。この意見が政治や社会に具現するための回路がなければ、民主主義はうち崩される。この回路こそ、本来三権の一つである裁判であり、裁判所でなければならない。」
原告的確についての大法廷判決は12月7日3時と決まりました。
裁判所は逃げてはならない。
(2005年11月 5日)
*小田急訴訟大法廷については木下がウェブマスターのHP「もぐれ小田急線」を是非お読みください。