
9月16日に一般質問をおこないました。
東京地裁の小田急線騒音訴訟の判決についての評価を区長に問いただしましたが、区長は一言も答えず、担当者は控訴審に回ったからと、何ら答えませんでした。
また、小田急線連立事業での下北沢地区3駅の駅舎説明会については、駅舎周辺20mに限定して広報したのみで、区議会の都市整備常任委員会や公共交通機関対策特別委員会の委員にさえ、その存在すら知らされませんでした。
このことを質しても開き直るばかり。
情報公開審査会の答申での説明責任の是正勧告にもかかわらず、都市計画事業に関する関係区間との協議会の議事録さえとらないでよいと言い放つ担当。これを是認する区長。
これでよいのか!世田谷区政、世田谷区議会。
以下は議事録です。
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○川上和彦 議長 次に、二十三番木下泰之議員。
〔二十三番木下泰之議員登壇〕
◆二十三番(木下泰之 議員) 通告に従い、一般質問を行います。
最初に、小田急線騒音訴訟判決と小田急・京王連立事業への区長の対応についてお聞きします。
八月三十一日に、東京地裁で小田急線騒音等訴訟の判決がありました。大事なことは、これまで在来線については不当にも騒音基準は一切なかったということであります。にもかかわらず、鉄道騒音の受忍限度についての初めての司法判断が下ったということです。
一九九八年の政府責任裁定より五デシベル厳しく、受忍限度を昼間の日平均六十五デシベル、夜間六十デシベルとしたことは評価できます。名古屋高裁の新幹線の受忍限度五十六デシベルより緩かったり、WHOの最近の科学的知見が十分考慮されていないことなどの問題があるものの、騒音の測定地点を野外の最も生活に影響を受けやすいところとして、その高さなどを限定していないことは、高架騒音被害の救済と防止に貢献する初めての判断であり、鉄道会社に対してこのような規制基準を定めたこと自体が画期的なことでありますし、全国の在来鉄道の騒音被害救済を初めて可能にした判決でもあります。
一方で、今回の判決は、被告の主張する時効を大幅に認めたり、被害者を不当に狭く限定し、さらに賠償認定を月三千円と不当に低く抑えるなど、電鉄会社に不当に遠慮した判決でもありました。十二年かかった裁判に対し、損害賠償としては四十二名に対して合計一千百万円ほどの認定しかしておりません。にもかかわらず、被告の小田急電鉄は判決を不服として控訴いたしました。この狭量な小田急電鉄にはあきれるほかはありません。
原告も次のように声明して控訴しました。小田急電鉄が騒音に対する法的拘束を嫌悪して、今までの野放しの自由を求めているとすれば、愚挙というほかはない。まさに歴史的喜劇ということになろう。しかし、騒音などの複合汚染に日々直面している我々は、かかる喜劇を到底容認することはできない。一審判決のレベルを質的にも量的にも高めることによって、これを打ち破り、歴史的審判を導くために、我々も控訴し、最後までやり抜くことになろう、そういうふうに声明しているわけであります。
そこでお聞きします。
現在、鉄道騒音及び改良事業について初めて下された受忍限度と賠償命令の司法判断について、区長はどのようにとらえているのか明らかにしていただきたい。
受忍限度について、政府責任裁定より五デシベル厳しく、昼間の日平均六十五デシベル、夜間六十デシベルとしたが、この数字への評価を明らかにしていただきたい。
現在、在来線に環境基準がないが、区長としては環境基準や騒音規制をどのように求めていくつもりか、お伺いいたします。
小田急線線増連続立体交差事業による今後の騒音対策、京王線線増連続立体交差事業のアセスや今後のあり方について、区長はどのように考えるのかお伺いいたします。
次に、都市計画やまちづくりにおける区の説明責任と情報公開のあり方についてお聞きいたします。基本的なことについてだけお伺いします。
都市計画法は三条に、国、地方公共団体及び住民の責務を定めております。都市の住民に行政措置への協力と良好な都市環境の形成への努めを義務として課している以上、法が行政に課している都市計画に関する知識の普及及び情報の提供の責務は、区民が内容を理解するにたる十分な情報が提供されていなければならない、そういうふうに考えます。この条文の解釈を明らかにすることを求め、この条文が守られているか甚だ怪しい事例が区政に存在していることを指摘し、釈明を求めます。
世田谷区は、旧建設省OBや学識経験者などの外部委員を集め、また、関係部長が参加して、小田急線下北沢地区上部利用区民意見検討委員会をつくりました。区民がこの議事録、あるいは議事のすべての記録を求めたところ、同委員会の運営をコンサルタントに委託して議事要旨をつくってはいるが、もととなる議事記録は区には存在しないとして非開示といたしました。コンサルタントを介することによって議事について区民がアセスすることさえ断ち切ってしまうような、このような手法が法に照らして、また行政の説明責任に照らして許されるのでしょうか。
世田谷区は、小田急線の連立事業での東京都、小田急電鉄、世田谷区、渋谷区でつくる連続立体交差協議会に参加しておりますが、同協議会は議事録をとらないのだとしております。東京都、京王電鉄、世田谷区、杉並区が参加する京王電鉄京王線の道路・鉄道立体化及び沿線街づくりに関する検討会の議事録についても、かつて私が情報開示を求めたとき、議事録は作成していないというふうに担当者は答えております。
小田急連続立体交差協議会の議事録の不存在と説明責任の欠如については、審査請求の答申の中で、世田谷区情報審査会が次のように指摘しております。
なお、協議体のように各団体が集まり、協議・調整を行うことがその設置規定に明記されている会議体においては、議事録等を作成することが一般的であり、その意味では申立人の主張も理解することができる。本審査会としては、協議体の会議内容が実際には各団体からの報告事項であったとしても、区民や都民に対する説明責任の観点から、協議会の活動目的である協議・調整の過程を説明できるようにしていくことを期待するものである、こう答申しているわけであります。この答申での指摘に対し、区長はどのように対応しようとしているのかお聞きいたします。
次に、区議にさえ知らされなかった小田急線下北沢地区三駅説明会についてお聞きいたします。
小田急線上部利用区民意見検討会では、なぜか駅舎についてはこの委員会での検討から除外され、小田急電鉄が昨年、駅舎イメージ案を提出したものについて、区が別に意見を募集するという複雑な対応をとりました。その際、駅舎についての意見募集については、区議会にも報告され、インターネットにも掲載されて、広く区民などから意見を募集したにもかかわらず、今般開かれた世田谷区の環境条例及び風景づくり条例に基づく説明会は、その実施日時や存在は、区議会や関連委員会、区議にさえ知らされませんでした。
そこで、小田急線連立事業の駅舎説明会及び広報の実態についてお聞きします。
八月三十一日に世田谷代田、九月一日、下北沢、九月八日、東北沢と行われた駅舎説明会は、小田急電鉄、東京都の共催で行われました。東京都が主催者として入っている根拠を明らかにしていただきたい。区も説明者として参加して行われましたが、区が参加する根拠を明らかにしていただきたい。放映されたスライド作成も含め、説明会の費用については東京都や世田谷区の負担はどうなっているのか明らかにしていただきたいと思います。
区は駅舎イメージやデザインに対する要望を広く公募しておきながら、今回の駅舎説明会の広報の範囲を駅舎から二十メートル範囲と限ったのはなぜか。一方で、商店街や町会幹部、一部地域団体幹部には知らせたと聞くが、なぜか。説明会実施を決めた時期、広報期間と説明会案内の配布枚数を明らかにしていただきたい。
ところで、この説明会については、配布範囲に居住していて気がついた区議会公共交通機関対策等特別委員会の副委員長が、関係区議会議員へ知らせるように、担当者に要請しております。要請にもかかわらず、委員会所属区議にさえ広報されなかったのはなぜなのか。関係委員会への報告や予告はどうなっているのか。この件に関し、担当役員はいまだに居直っておりますが、区長は今回の事態についてどう考えているのか、謝罪や是正のつもりはあるのかお伺いいたします。
以上、壇上からの質問といたします。(拍手)
◎工藤 交通政策担当部長 順次お答え申し上げます。
騒音訴訟について、司法判断のお尋ねでございますが、在来線による騒音につきましては、環境基本法に基づく環境基準は定められておりません。しかし、今回の東京地裁の判決は、連立事業前における在来線の鉄道騒音について一つの司法判断がなされたものと認識しております。区としては、今後の電鉄側の対応を見守ってまいります。
数字への評価につきましては、今回の判決は、昼間、夜間、それぞれ六十五デシベル、六十デシベル以下とすることが可能だったと推認されると聞いているところでございますが、区はそれについて評価する立場にございません。
次に、在来線における環境基準や騒音規制についてのお尋ねでございますが、区としては、今後の法に基づく環境基準や騒音基準など、国の動向を見守ってまいります。
次に、小田急線連立事業の騒音対策、京王連立のアセスや今後のあり方につきまして、小田急連立におきましては車両の改良や線路の保守など、引き続き小田急電鉄により適切な騒音対策が図られるものと考えております。京王線連続立体交差事業のアセスメントや今後のあり方についても、国と東京都が適切に判断し進めていくものと考えております。
次に、会議録と情報開示についてでございます。
小田急線の連絡協議会におきましては、事務局である東京都において議事録を作成しておりません。京王電鉄京王線の道路・鉄道立体化及び沿線街づくりに関する検討会におきましては議事要旨を作成しており、必要に応じ情報開示制度の手続により適切に対応しているところでございます。
次に、駅舎の説明会についてご答弁申し上げます。
将来的に駅舎は小田急電鉄の資産になりますが、連続立体交差事業及び複々線化事業における駅舎建てかえとなるため、連立事業者である東京都が出席しております。世田谷区は駅周辺まちづくりを推進する立場から、関連する質問にも対応するため、オブザーバーとして出席しております。また、この説明会の費用につきましては、これまで主催者である東京都と小田急電鉄が負担してきております。
次に、説明会への区議会や関係議員への周知につきましてですが、区は、小田急電鉄より三駅の駅舎の設計コンセプト及び整備イメージの発表を受け、平成二十一年十月に三駅の整備イメージについて意見募集を行い、事業者である小田急電鉄に伝えてきております。
今回の説明会は世田谷区環境基本条例等に基づくものであり、駅舎計画が具体化されることに伴い、新しい駅舎の環境への配慮について、事業者である東京都、小田急電鉄が近隣の住民の皆様方に説明し、意見を伺うために開催したものです。
周知につきましては、事業者の判断に基づき実施されております。区議会議員につきましては、周知範囲内に所在地がある区議にはお知らせしているところでございます。
次は、広報の実態につきましては周知範囲といたしまして、環境基本条例に基づき駅舎の範囲から二十メートルとされておりますが、近隣の方から意見を広く伺うためにも、二十メートル以上の範囲にかかる道路に囲まれた区域の皆様方に事業者よりお知らせし、また、下北沢駅の情報ステーション、シモチカナビにも掲示、周知されたと聞いております。
団体への問題でございますが、これまでと同様、周知範囲にかかわる関係諸団体や駅周辺まちづくりにかかわってきた商店街、町会、一部団体の代表の方々にお知らせしていると聞いております。周知枚数につきましては千四百五十世帯というふうに聞いております。
次に、さきの説明会に続いて、引き続きご答弁申し上げます。
関係委員への報告、所属委員への広報についてでございますが、今回の説明会は開発事業者による条例手続の一環であり、以前より同様の案件につきましては報告を行っておらず、従来どおりの扱いとさせていただきました。説明会は小田急線の連続立体交差事業及び複々線事業の事業者である東京都、小田急電鉄が条例に基づき行ったものでございます。
今後につきましても、事業者によりその都度適切に判断した上、実施していくものと考えております。
以上でございます。
◎板垣 都市整備部長 都市計画法における住民の責務と情報公開及び情報の説明責任についてのお尋ねでございます。
都市計画法における住民の責務としましては、都市計画法の第三条に規定されており、条文では「都市の住民は、国及び地方公共団体がこの法律の目的を達成するために行う措置に協力し、良好な都市環境の形成に努めなければならない」とされております。一方、「国及び地方公共団体は、都市の住民に対し、都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない」と規定されてございます。さらに、情報公開及び情報の説明責任につきましては法の十六条及び十七条に規定がございまして、公聴会、説明会等の開催や公告・縦覧による意見提出などが規定されてございまして、区としましては、これらの都市計画法の規定に基づきまして対応してきているところでございます。
以上でございます。
◎春日 生活拠点整備担当部長 小田急線上部利用区民意見検討委員会の議事録とコンサルタント委託についてお答え申し上げます。
上部利用区民意見検討委員会では、図面やイメージスケッチなどの検討資料に対して意見をいただき、修正、追加する作業を積み重ねることにより取りまとめを行ってまいりました。コンサルタントには、議事録ではございませんが、委員会で確認された項目を整理した議事要旨や検討資料の作成を委託したものでございます。これらの内容は、区ホームページや上部利用通信などで公表し、周知に努めてまいりました。
以上でございます。
◆二十三番(木下泰之 議員) 一言で言って心のない回答ですよ。
区長にお聞きしますけれども、長年、区長は連立事業についてはかかわってこられた。小田急線もそうですし、それから京王線についても一生懸命やっておられる。これは沿線に行ったことはございますか。あのうるささについてどう考えますか。そのことについて、まずは答えていただきたい。
それから、まちづくりといった場合に、沿線のまちづくりで騒音について対策がないなどということは、これは世田谷区としてあってはならぬことですよ。騒音基準がないこと自体が非常に問題なんですよ。そのことについてどう考えるのか、ぜひここで語っていただきたいと思います。
それから、情報開示についてもそうです。区議会に一切報告がないなんていうことは、区議会をばかにしていますよ。そういったことでいいのか、これは区長、ぜひ答えてください。
◎工藤 交通政策担当部長 騒音基準についてお尋ねでございます。これについては、先ほど答弁したとおりでございますが(「あんたに聞いているんじゃない、区長に聞いているんだ」と呼ぶ者あり)
○川上和彦 議長 ご静粛に。(「心がないぞ」と呼ぶ者あり)
◎工藤 交通政策担当部長 先ほどご答弁しているとおりでございます。騒音は、連立後につきましては、在来線より大幅に静かになっているという現実は踏まえてございます。
以上でございます。
◆二十三番(木下泰之 議員) 京王線の給田あたりに行ってごらんなさいよ、すごいですよ。それから、明大前のあたりだってすごい。それから、改良したところだって、今回は代々木上原で認められている人もいるし、それから、改良の後だってひどいことになっているんですよ。区長、答えてください。区長、そのくらいのことに答えなさい。
○川上和彦 議長 ご静粛に。
◎工藤 交通政策担当部長 在来線のことにつきましては、現在、大規模改良、こういったものにつきましては、現在の基準より、今の騒音より下回るという基準がございます。(「それで判決が出たんじゃないか」と呼ぶ者あり)そういうことで、したがいまして、経堂工区、こういったものにつきましては、今まで改良工事、連立を行いまして(「前からひどい騒音が出ているんだよ」と呼ぶ者あり)大幅に静かになっているということでございます。
○川上和彦 議長 ご静粛に、答弁中です。
◎工藤 交通政策担当部長 以上でございます。
○川上和彦 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。